日本共産党

2002年4月21日(日)「しんぶん赤旗」

「稲の旋律」作者、挿絵画家囲み「文学カフェ」

各地から60人余 “これぞ文学の感動”“私の思いを小説が代弁”


 本紙に連載された小説「稲の旋律」の作者・旭爪(ひのつめ)あかねさんと挿絵の首藤順一さんを囲む「若い世代の文学カフェ」が、十四日、東京で開かれ、半数近くの二十代、三十代の読者を含め各地から六十人以上が参加し、熱気のこもる集いになりました。

 「十年ぐらい前、対人恐怖症のような状態で、アルバイトをクビになり、家の近くの田んぼで散歩をしていたとき、稲がきれいで、いつか言葉にしたいと思っていました」と旭爪さん。

 「『赤旗』の小説なので労働運動か市民運動かと思っていたら、主人公の内面の叫びが聞こえてきた。(物語の)先は、わからないまま、一回一回で心に残ったものを絵にしていきました」と首藤さん。

 主催の日本民主主義文学同盟の岩渕剛さん(文芸評論家)が聞き手となり、旭爪、首藤の両氏が、連載の苦労などを語りました。二人が互いに面識もないまま連載を進めたという裏話や、主人公や母親像などの形象は、体験ばかりではなく、取材や創作の結果もあるという話に、参加者は驚いたり、うなずいたり。参加者からの感想や質問は、予定時間を超えてあいつぎました。

 「『赤旗』の連載小説を読んだのはこれが初めて。みずみずしく繊細で、味わい深く作者の今後にも期待しています」と横浜市からの参加者(女性)。

 かつてひきこもりに近かったという大阪の女性(22)は、「私の思いをそのまま代弁してもらっているようで、こんな小説が大勢の人に読んでもらえているのがうれしかった」と涙ながらに語りました。

 不登校の子の親の会の世話をしているという東京の男性は「配達をしながら、エレベーターの中で読んだりした。挿絵も良くて鏡のような水田の風景が印象的。不登校の娘への励ましのメッセージになり、非常に大きな意味を持つ小説だと思う」と語り、一方、ひきこもりの子を持ち身につまされて読んだという女性は「会場で原画の展示を見て、こんな素晴らしい絵があったんだと気付いた」と語り笑いを呼びました。

 岡山から東京に住む娘と参加した婦人は、娘に日々ファクスで送っていたと語り、「農業とひきこもり、親子のあり方がかみ合い、久しぶりに文学の感動を味わった」と言います。

 質問や激励にこたえ、旭爪さんは、自分自身も対人緊張から脱け出し切ったとはいえないが、少しでも自分の脱け出した過程を伝えたいという思いに重心がいってしまったという反省をのべ、生きるために小説を書かなければいけなかったのが、「書くためにも生きてみよう」と思うように変化したと語りました。

 初めての挿絵への挑戦を「付属物ではなく、自分の感性を通す作品にしたい」と臨んだ首藤さんは、「小説には、今大事なものは何なのかという提起があり、表現活動の大切な部分を呼び戻される仕事になりました。今後の自分の創作の大きな位置付けになりました」とのべました。

 


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