日本共産党

2002年4月18日(木)「しんぶん赤旗」

「戦争国家法案」海外の声

日本、「戦争できる国」へ また一歩

軍事行動拡大の門が、こっそり開かれる


 日本政府が「戦争国家法案」(有事法制関連三法案)を閣議決定し、今国会での成立をめざしている動きに対して韓国や中国の新聞は、日本が「『戦争放棄』の束縛」から抜け出そうとするものだなどと、厳しい批判と懸念の声をあげています。また、マレーシアやシンガポールなどの東南アジア各国紙も日本の動向に強い関心を示し、一連の動きをいち早く報じています。

■韓国各紙

 韓国各紙(十六日付電子版)は「日本が『戦争できる普通の国家』への一歩をまた踏み出した」(朝鮮日報)などと強い警戒感を示しています。

 朝鮮日報は「日本、『戦争放棄』の束縛から抜け出す」と題する論評記事を掲げ、「最近相次いだ自衛隊法改正と周辺事態法改正、テロ支援法などで自衛隊活動の制約を事実上取り払った日本政府は、自衛隊の活動と関連した最後の目標として『戦争動員法整備』と『自衛隊の軍隊化』」を目指していると指摘。今回の法案は「日本人がこれまで拒否感を持ってきた『戦時動員体制』の再現を可能にしたという点に意味がある」としています。

 大韓毎日紙は、法案は「米国の東アジア戦略と密接な関連がある」と指摘。「中国の経済・軍事力に対するけん制勢力として日本の役割を強調してきた米国は、日本有事の際の米軍戦力はもちろん、日本政府が迅速に対応できるように(日本)国内の法整備を注文してきた」として「有事法制には日本政府や地方自治体が米軍に物資や施設、サービスを提供することも含まれている」と紹介しています。

 東亜日報は「この法案が通過すれば日本の武力行使の可能性はよりいっそう拡大し、憲法改正と集団的自衛権確保への道を開くことになる」と憂慮。京郷新聞も、今回の法案は「集団的自衛権の行使を認めなかったこれまでの憲法解釈を跳び越え」ることになるとして、日本の安保政策の根本的転換への動きを懸念しています。

 また、ハンギョレ紙は「昨年のテロ支援特別法で自衛隊が海外のどこでも活動できるようにされたとすれば、(今回の)戦時準備立法は国内の動員体制を完結させることに意味がある」と、今法案の目的を分析しています。

■中国「人民日報」

 【北京16日菊池敏也】中国の人民日報(電子版)は十六日、日本政府が有事法制関連三法案を閣議決定したことについて、「軍事行動拡大の大門がこっそり開かれる?」との表題のもとに速報しました。

 同記事は、法案の閣議決定が「戦後日本政府がはじめて有事法制を確立する決定」であり、「日本の安全保障戦略に重大な影響を及ぼす」と懸念を表明しました。

 また、有事法制が「平和憲法に抵触」し、「日本が軍事行動を拡大する突破口になりうる」との指摘を報じました。

 同記事は、三法案の内容と問題点を詳しく紹介するとともに、これに対して野党や民間団体が談話を発表して非難したり、集会を開いて抗議していることを伝えました。そのなかで、有事法制は「憲法第九条のじゅうりん」であり、「人権や自由、議会制民主主義」など「憲法の原則を踏みにじるもの」と指摘した日本共産党の談話(十六日)の内容を紹介しました。

■中国新華社

 【北京17日小寺松雄】中国国営通信の新華社は、小泉内閣が戦争国家法案を臨時閣議で決定した十六日夜にこの事態を速報。首相に権力を一極集中させる法案だと解説し、日本国内の動きを次のように伝えました。「民主、共産など野党の代表は、これは日本の軍事行動と武力行使の範囲を広げるものだと批判する談話を発表した。また労働組合や市民団体はすぐ抗議集会を開き、国民の人権を奪うこの法案に反対しようと訴えて、銀座通りなどをデモ行進した」

 また、中国青年報、解放軍報は十七日、それぞれ日本政府が三法案を閣議決定したことや三法案の内容、これに対する日本共産党と他の野党の批判談話、労組員や学者、市民の抗議の動きを伝えました。

 


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