日本共産党

2002年4月14日(日)「しんぶん赤旗」

腐敗一掃の契機に

各界の声


 「驚いた。機密にする内容ではない」「腐敗防止に役立つ追及を」――日本共産党の志位和夫委員長が十二日明らかにした官房機密費の内部文書は、大きな反響をよんでいます。各界からの談話を紹介します。

各政党は明らかにせよ

政治評論家 飯塚繁太郎さん

 官房機密費について一部でもその資料が手に入ったことに非常に驚いた。あの資料は本物でしょう。なるほどと思うような使われ方をしている。何よりも受け取ったとされる側のコメントの歯切れが悪い。

 私も長い間、新聞記者(読売新聞)をやっていて、機密費が政治工作、国会対策等に使われていると聞いてはいたけれど、絶対に表に出るものではないと思っていた。塩川財務相が昨年、機密費問題で「忘れた」といったが、政府にとって、あれは“忘れなきゃいけない”性質のものだったんです。

 今回、詳細が明らかになり、政府・与党には非常によい警告になった。機密費は「機密」だから価値がある。「機密」に値しない使われ方をしていることが明るみに出て、こうした使われ方は機能しなくなるのではないか。

 今回の公表が、政治腐敗を一掃する契機になればと思います。各政党には、自ら明らかにしていくことが求められる。機密費について政府・与党は一切明らかにしない姿勢だが、共産党には引き続き腐敗防止に役に立つ追及をしてほしい。

むしろ公開すべきだ

評論家 俵萠子さん

 公表された資料を見て思ったのは、政府は「機密」として公開しないというけれど、「機密」にする内容などなく、むしろ公開すべき内容だということです。

 「国会対策」ということでも使われていますが、国会は言論の府であり、議論してものごとを決めていくのが本当の姿です。裏で「背広代」などを渡して取引するなどフェアではない。

 「背広代」とか「商品券」とか、こんなことに私たちの税金を使ってほしくない。国民は一生懸命働いて税金を納めています。私の税金もこういうことに使われているかと思うと納得がいかない。いまは知事はじめ首長の交際費も情報公開するというのが大きな流れです。この点、政府は遅れています。

戦争中の海軍と同じ

評論家 鶴見俊輔さん

 機密費の使途がわかったのはすごいね。十年前のことだからなんて言い訳できませんよ。これは百年続いているシステムなんです。一九〇五年の日露戦争のころから始まったんだと思うんです。

 私は戦争中、バタビア(現在インドネシアのジャカルタ)の海軍武官府にいて、金庫の中で機密費と普通の予算が区別されていたのを知っているんです。機密費はいついくら出したと書いておけばよくて、私が扱った経理の帳簿には記帳する必要がないんですよ。

 何に使うかというと、政府や軍の高官がやってきたときの宴会の費用としてでした。作戦上の機密じゃないんです。末端での習慣なので、他の軍でも同じだったのではないでしょうか。

 今回の内容を見ても同じ習慣が続いていたんだとわかります。加藤(紘一)さんの同窓会費の立て替えなんて面白いね。われわれには立て替えてくれる人なんていないけれど、有力政治家になると立て替えてもらえるんだということは、有権者のみんなに知っておいてもらいたいことですね。

税金勝手に使われた

作家 吉永みち子さん

 聞きしに勝る乱脈な使い方にあぜんとしています。

 官房長官から丸抱えで背広を買ってもらったり、パーティー券を買ってもらう。金で政治が動かされ、選挙での票まで動く。国民の税金が勝手にこのように使われた。ひどい話です。

 少なくても、ここに現れた分は納税者が返還要求してもいいんではないかと思う。

 こうしたお金に群がった人たちがこんなにたくさんいたわけで、何をかいわんやです。

 お金でたらし込まれ、懐柔され政治が動いていくことを良しとしては絶対にいけません。

 小泉さんは、会見で十年前のことなど覚えていないと笑っていました。記憶の問題ではなく、このような使われ方、このような体質をどう思うのか問いたい。

 これから求めたいのは、「これではいけない」と勇気ある告発で露見したこの現実を、どのように変えていけるかという具体的な措置。情報漏えいを防ぐシステムが強化されれば機密費はそれに守られ使い放題のまま。

 納税者が返還請求できたり、情報公開裁判である程度の透明性を保つとか、国民のためにならない「秘密」を公開した場合は、国家公務員の守秘義務違反などの罪に問わないなどの制度をつくる必要があります。

私的な事務経費に流用

『機密費』(集英社新書)の著者、「インサイドライン」編集長 歳川隆雄さん

 今回の内部資料の暴露はジャーナリズム的にいえばスクープ。よくやったといいたい。

 私は国家の外交・安全保障政策のために機密費そのものは必要なものだと考えている。

 問題はその使途だ。

 著書のなかでも触れたが、政府・与党は野党工作のための国会対策や地方選挙へのテコ入れにまで機密費を流用してきた。今回の資料では、それのみならず、せんべつや背広代、慶弔費、出版記念パーティー代などに流用していたことが明らかになった。

 こうした支出は私的な事務経費にすぎない。それを国民の税金である機密費から流用する。あきれて物も言えないというのはこのことだ。

 キルギスでのJICA職員拉致事件、ペルー大使公邸占拠事件の際には、人質解放のため機密費が出たといううわさがある。外交・安保の問題で相手政府や反体制勢力との表にだせない交渉もある。機密費とは本来こういう時に使われるものではないのか。

 官邸側は今回の資料について、コメントを避けたり否定したりしているが、これはおかしい。機密費が事務経費的に使われているのであれば、国民に説明する義務がある。

 機密費問題では、外交機密費からの官房機密費への上納問題も解明されていない。それだけに、機密費の定義、そしてそれはどう使われるべきなのか、国会で審議すべきではないか。すくなくても私は衆参の両院で非公開の特別委員会を設置し、情報を公開していくことが求められていると考える。

 


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