2002年4月13日(土)「しんぶん赤旗」
民間信用調査会社の帝国データバンクが十二日発表した二〇〇一年度(〇一年四月〜〇二年三月)の全国企業倒産(負債額一千万円以上)件数は二万五十二件で、前年度に比べ5・9%増えました。一九八四年度(二万三百六十三件)に次ぐ戦後二番目の高水準で、バブル崩壊後では二〇〇〇年度を抜き最高となりました。
負債総額も十六兆一千四百八億円と、戦後最悪を記録した前年度を37・9%下回ったものの、戦後二番目を記録しました。
大手スーパー、マイカル(大阪府)など上場企業の倒産が二十一件発生。前年度の十五件を抜いて最多となり、負債総額を押し上げました。
「モノが売れない」など不況要因によって倒産に追い込まれる「不況型倒産」は一万五千二百八十件。倒産全体に占める構成比は76・2%で、前年度(75・0%)を抜き、戦後最悪を更新しました。
倒産企業の従業員数は十九万九千二百八十人と二十万人に迫り、集計開始の八七年以来二番目の多さです。
帝国データバンクでは、「景気の底入れ」がいわれているが、米国頼みの要素が大きく、中小企業はもとより大企業製造業の景気判断指数も良くなく、倒産は「一段と増加することが懸念される」としています。
三月の企業倒産は千七百八十八件(前年同月比5・0%増)、負債総額は二兆四百十億円(同13・8%減)でした。
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同日発表の東京商工リサーチによる〇一年度の倒産件数は一万九千五百六十五件(前年度比4・1%増)、負債総額は十六兆二千八百八億円(同37・6%減)。三月の倒産件数は千七百四十一件(前年同月比2・2%増)、負債総額は二兆七百九十六億円(同15・3%減)でした。
柳沢伯夫金融担当相が十二日発表した、大手銀行の「特別検査」結果は、「正常先」「要注意先」に分類されていた貸出先の約二割、債権額の約三割を最終処理の対象とされる不良債権(「破たん懸念先」以下)に区分しました。基準をきびしくすれば、「問題債権」が増えるのは予想されたことです。問題は、貸し倒れに備えた引当金など不良債権処理額が一・九兆円も増えたことで「最終処理」に拍車がかかりかねないことです。
小泉首相は、「構造改革なくして景気回復なし」として、不良債権の「早期最終処理」を最優先で促し、この一年間で、約二兆五千億円を処理させました。しかし、処理が進むほど、企業倒産や失業の不安で消費が冷え込み、景気は悪化。処理した額を上回る新たな不良債権が三兆円も発生しました。
流通、ゼネコンなど大口融資先がとりざたされているものの、実際は、いま「不良債権」とされる大部分は、不況のために経営が悪化した中小企業です。政府も「(バブル崩壊などによる)過去の不良債権の処理については基本的には九九年三月期をもって終わっている」(金融再生政務次官、九九年十二月、衆院予算委員会)と認めています。
苦境にある中小企業を不良債権として「処理」すれば、さらに景気が悪化し、不良債権を増やすことは、この一年の経過ではっきりしています。「最終処理」の促進ではなく、国民の家計をあたためて、景気を回復することこそ不良債権をなくす近道です。
(石井光次郎記者)