日本共産党

2002年4月13日(土)「しんぶん赤旗」

緊迫パレスチナ

パレスチナ人数百人殺害

ジェニン難民キャンプ

イスラエル軍認める


 イスラエル軍当局は十二日、同軍が大規模攻撃を行っているヨルダン川西岸のパレスチナ自治区のなかでも、最も激しい攻撃を加えているジェニンのパレスチナ難民キャンプで「数百人のパレスチナ住民が死亡した」と認めました。

 イスラエル陸軍スポークスマンのキトリー准将が軍放送に語ったもの。その後、同准将はこの数字は負傷者を含むと訂正。他方、同日のイスラエル放送は、治安筋の話として、死者は約二百人だと伝えました。

 ジェニン難民キャンプでの住民殺りくについては、パレスチナ側が抗議の声をあげており、イスラエル軍側が今回、正確な数字は別として、事実上の多数市民の殺りくを認めたものといえます。

 イスラエル軍は十日からパレスチナ住民約一万三千人が住むジェニンのキャンプを包囲し、猛攻を加えています。同軍はキャンプ内の家一軒一軒をしらみつぶしに捜索。ブルドーザーで家を次々と破壊し、抵抗する人々を殺害し、多数の死体をキャンプ周辺に埋めているといいます。

 パレスチナ側は、同キャンプで虐殺が行われているとして、国連や国際赤十字に告発し、調査を求めています。これに対しキトリー准将は、虐殺を否定、戦闘中の死亡だと主張しています。また、イスラエル軍側はこの作戦で十四人の兵士が死亡したとしています。

 しかし、十三日現在、国連機関や国際赤十字関係者は、ジェニンの市街地区に到達していますが、難民キャンプ内への立ち入りは拒否されたままです。ジャーナリストの取材もイスラエル軍が妨害しています。

 アリカット・パレスチナ自治政府地方行政相は十日、イスラエル軍が三月二十九日から開始した侵攻で、西岸全体でパレスチナ人五百人が殺害されたと語っています。


飲まず食わずで放置

イスラエル軍の人権侵害 人権団体が告発

 イスラエルの人権団体など三非政府組織(NGO)が八日パリで記者会見し、イスラエル軍によるパレスチナ人に対する人権侵害を告発するとともに、戦争状態を理由にメディアも最高裁判所も軍を批判しようとしないと指摘しました。

 仏紙ルモンド十日付によると、会見したのはヨルダン川西岸ベツレヘムで活動している団体と「人権のための医師計画」、「ハモキッド」の三団体の指導者。国際人権連盟と国際アムネスティの求めに応じたもの。

 三氏らによると、イスラエル軍は十四―十五歳から四十五歳までの男性をすべて家から連れだし、町の学校に収容。「数千人が集められ、その数を集めるには極めて狭い収容所に送られている。彼らは三十六時間飲まず、食わず、トイレに行く権利も与えられない状態で置かれている。薬も与えられず、ときには(野外で)雨の降る中に放置されている。われわれにはどういうものか分からないが、拷問も行われているという情報もある」といいます。

 三氏らは、これらのパレスチナ人が「釈放」されるときには外出禁止令がでている「夜や朝方に行われ」、極めて危険だと指摘。また、「外出禁止令のもとで(パレスチナの)救急車が走れず、走っても攻撃される例もこと欠かない」と強調しました。

 さらに、イスラエルのメディアは政府の観点による報道しかしておらず最高裁判所もイスラエルが戦争状態にあるとして軍を批判すべきではないとの態度をとっていることは遺憾だとのべています。

 


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