日本共産党

2002年3月25日(月)「しんぶん赤旗」

宮古島で有害ガス

沖縄

産廃処分場火災から4カ月

ぜんそく、かゆみ被害続く

ダイオキシン基準値2倍


 青い海、青い空を満喫するトライアスロンで知られる沖縄・宮古島が、住民を襲う有害ガスなど産業廃棄物処分場による深刻な被害でゆれています。県が推進する「美島(かぎすま)みやこ・ゼロエミッション(ゴミを出さない循環型社会)計画」のモデル地区で起きている事態は――。(山本眞直記者)

 「戦争(沖縄戦)いらいの避難さぁ」

 昨年十一月二十八日午後、平良市の北部、大浦の海岸沿いの産業廃棄物最終処分場(崎山環境整備開発、一万三千平方メートル)で火災が発生、四カ月たった今もくすぶり続けています。当時、近くの西原公民館に身を寄せた大浦地区のお年寄りたちが口にした恐怖感です。

 いまもときおり大量にガスが噴き出し、鼻やのどを刺激する悪臭が処分場から大浦地区まで広がりつづけています。

 産廃業者は、火災発生で住民に謝罪したものの、処分場にどんな廃棄物を埋めたのか情報を公開せず、再発防止策の説明もありません。処分場の許可、監督をおこなう県は住民に謝罪せず、業者への指導内容なども明らかにしません。

 大浦自治会の下地博和会長は「県の監督責任はゼロだ。私たちが要請している、火災原因や埋め立て廃棄物の調査もやろうとしない。住民のがまんは限度を超えている。悪臭をかぎつづけているおばあたちの苦しみを思うとやりきれない」と怒りを隠しません。

 平良市の「調査委員会」(関口鉄夫委員長・信州大講師)は、処分場の実態を次のように指摘しました。「処分場の表層温度が大半の地点で摂氏四十度をこえ、高いところでは摂氏百二十五度になっている」「地下の廃棄物内部では、ダイオキシン類などさまざまな有害物質が発生していると考えなければならない」(「中間報告」二月二十二日)。そのうえで焼却炉や埋め立ての実態が「法の及ばない施設」と違法状態を告発しています。

 この指摘は県議会での日本共産党の新垣米子県議の質問で裏付けられました(二月二十二日)。県文化環境部は火災発生前の調査ですでに環境基準値を大幅に超えるダイオキシンが測定されていたことを公表。その測定値は国の基準値である八〇ナノグラムに対し焼却炉煙突から最高一七〇ナノグラムが検出されていました。

 調査委員会の住民からの聞き取りでは、因果関係は不明ですが、ぜんそくの七十代の男性が畑で死亡していました。お年寄りを中心に背中や腕など体中に赤い斑点ができ、判明しているだけでも七人が緊急入院や通院をしています。

 その一人、七十代の女性は「去年の十二月ごろからさぁ、かゆくて夜も眠れない。チューブのかゆみ止め軟こうが一晩でなくなる。あとはかゆいところを手でばんばんたたくのさ」といいます。

 処分場の実態を数年前から調査、監視している日本共産党の上里樹市議は、「国や県は循環型社会などと口にするが、消費者に責任をおわせるやり方では廃棄物問題は解決しない。離島ではその矛盾が深刻だ。日本共産党が強調するように製造者責任を本格的に追及する以外に、環境と住民の安全を守ることはできない」と力説します。

 


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