日本共産党

2002年3月16日(土)「しんぶん赤旗」

ムネオ疑惑は自民党政治そのもの

徹底糾明これから

鈴木議員離党


 「このままでは党に大変な迷惑をかけると思い離党した」―鈴木宗男衆院議員は、自民党を離党するにあたってこうのべましたが、最後まで国民へのおわびや反省の言葉はありませんでした。鈴木氏は自民党を離党したからといって、衆院議員をやめるわけでもなく、まして疑惑が晴れたわけでもありません。国民が求めているのは、離党ではなく議員辞職、そして疑惑の徹底解明です。税金を食い物にしてきた自民党の腐食構造を変えることこそ急務です。


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鈴木議員の入札関与が明らかになった国後島の「ムネオハウス」
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鈴木議員の自民党離党を伝えるテレビニュースを見る人たち=15日午後、東京都千代田区

鈴木議員 "党に迷惑かける"と…

 「私自身、悪いことをしているという認識で政治をしてきたことはない」

 鈴木氏は、記者会見でみずからの数々の疑惑についてこう開き直り、疑惑には何一つ答えませんでした。

 鈴木議員の疑惑の中心は、行政を私物化し、自らの後援業者に事業を受注させ、見返りに献金をもらうというもの。国民の税金を食い物にし、自らの懐に還流させてきたという重大問題です。それを「悪いことをしているという認識はない」という発言は、鈴木氏がいかに利権政治に侵されているかを示すだけです。

 だから、みずからの行いへの真摯(しんし)な反省もなければ、国民へのおわびもありません。「私の言動が圧力ととられ、国民の批判を受け」、その結果「党に大変な迷惑をかける」ことになるから離党を決断したというのです。

 しかも、外務省の内部資料が疑惑追及の大きな契機になったことにたいして、「私の排除、つぶしというか何がしかの意図がある」とまくしたて声を荒らげました。鈴木氏にしてみれば、共犯者・外務省の“裏切り”と映ったのでしょうが、ここにも問題の所在すら認識できない鈴木氏の姿が示されています。

 鈴木氏は、「十一日の証人喚問で精いっぱい答えさせていただいた」などと、疑惑について“決着ずみ”かのような態度を示しました。

 しかし、証人喚問後も疑惑はいっそう深まり、野党四党は週明けにも偽証罪での告発をしようとしています。離党で疑惑が免罪されないことは明白です。

"疑惑の百貨店"生んだ自民の体質

 「私の離党が、自由民主党の改革や、また外務省の改革になるのなら、私なりによかったという方向づけがでることを心から願ってやみません」

 鈴木氏は、離党会見でこうのべましたが、「疑惑の百貨店」といわれる鈴木氏を生み育ててきたのは自民党政治そのものです。

 政治資金を企業・団体献金に頼り、口利きと称して企業から献金を搾りとる、一方では行政に企業の意向を反映させゆがめる、行政とは予算獲得や天下りなどを通じて癒着関係をつくる―これこそ自民党が長年つくりあげてきた政・官・業の腐食構造にほかなりません。鈴木議員はこの構造を最も忠実にこなしてきた議員なのです。

 しかも、自民党では金を集めれば集めるほど、ばらまけばばらまくほど実力者にのしあがる――。実際、鈴木氏も、自民党議員五十七人、公明党議員一人に、一九九八年から二〇〇〇年までの三年間で二億四千万円もの献金をばらまき、実力者の地位を築きあげてきました。

 こうした金まみれの自民党政治の実態は、鈴木疑惑と同時に表面化した加藤紘一・元自民党幹事長の“金庫番”による脱税疑惑でより浮き彫りになりました。

 鈴木氏一人を切っても、この腐食構造を変えない限り、「自民党改革」はありえません。

小泉首相 調査も処分も人まかせ

 鈴木議員の疑惑発覚後、議運委員長辞任の際も「潔い身の処し方だ」などとかばい、出処進退も「本人が決めるものだ」との発言を繰り返してきた小泉首相の政治姿勢は重大です。

幕引き狙う■

 首相は、党の処分も、政治倫理審査会に“丸投げ”しました。その審査会は十五日、鈴木議員の「悪いことをしているという認識で政治はやっていない」とする言い分を事実上受け入れ、鈴木議員一人に責任を押し付けて、幕引きをはかろうとしています。

 鈴木議員は、比例代表北海道ブロックの名簿登載一位の自民党議員です。これだけの疑惑が追及されているにもかかわらず、出処進退は「本人まかせ」で、離党でことをすませ、議員辞職も求めないというのは、党の最高責任者として、あまりにも無責任な態度です。

 真相究明の点でも、首相は、調査を鈴木議員と共犯関係にあった外務省に指示。みずから調査に乗り出さず、当事者にみずからの疑惑解明の調査をさせるという、あなたまかせの対応に終始しました。

責任を不問■

 鈴木議員と二人三脚で行政をゆがめ、鈴木議員の圧力をもみけし、国民の目から隠ぺいした外務省など、中央省庁の責任は不問に付したままです。

 腐敗・癒着の根源である企業・団体献金禁止の要求にも首相は国会で、「必ずしも悪と思っていない」と居直り、公共事業受注企業からの献金禁止すら拒否するありさまです。

 昨年四月、「自民党を変える」「自民党をぶっ壊す」といって党総裁に就任した小泉首相。しかし、企業・団体献金にも手をつけず、調査も、処分も他人まかせの小泉首相のどこに「改革」があるというのでしょうか。

"共犯"の責任免れぬ外務省

 鈴木氏の自民党離党で問われるのは、結託して行政をゆがめてきた外務省をはじめとする中央省庁の責任です。

異常な関係■

 鈴木議員の疑惑に関する外務省の調査報告(四日)は、「一国会議員が自己の影響力を行使して、…関与が行われたことは、異常であり、社会通念上あってはならない」とする一方、外務省側が「同議員の意向に配慮しすぎたことは問題」と、両者の関係の異常さを認めました。

 実際、鈴木氏の行政私物化、援助私物化は、外務省など省庁側の協力なしに成り立たないものでした。たとえば、「ムネオハウス」の入札関与問題では、鈴木氏が地元の「根室管内」の後援企業に受注させるために入札要件の設定に介入しましたが、外務省側はそれを一般競争入札にみせかけるために偽装工作までおこなっていました。

 一九九六年に起きた鈴木議員による外務省職員への暴力事件は、どう喝と威圧で行政を意のままにしようとする鈴木氏の姿勢を象徴するものでした。外務省は、公務員の告発義務にもとづいて、問題をきちんと処理すべきでした。ところが、逆に口裏あわせまでして真相を隠ぺいしてきたことが、今日の事態を招いたのです。

問題を放置■

 「領土返還不要」発言についても、政府方針にも反するこの発言を、なぜいままで放置したのか。放置するばかりか、鈴木氏を重用し、対ロ外交をゆだねてきたのが外務省でした。

 この間の外務省の対応からは、鈴木氏一人に罪をなすりつけて、みずからの責任を逃れようという意図が透けて見えます。しかし、鈴木疑惑で明らかになった癒着体質、隠ぺい体質に徹底的にメスをいれることなしに、外務省の改革などありえません。



鈴木議員の離党にいたる経過
1.20アフガン復興支援会議から排除されたNGO代表が「鈴木氏からの圧力」と記者会見

24田中外相が「鈴木氏の関与」を明言。鈴木氏は「外相は虚言癖がある」と「反論」

28NGO排除問題で政府見解。鈴木氏の関与なかったと結論付け

29小泉首相、田中外相を更迭。鈴木氏も議運委員長辞任、首相「潔い身の処し方」を評価
2.小泉内閣支持率急落

13衆院予算委で日本共産党の佐々木憲昭議員が「ムネオハウス」疑惑を追及、火をつける。首相「調査」を約束

20鈴木氏の参考人質疑。佐々木氏が外務省内部文書を暴露し、「ムネオハウス」入札介入を追及

21同じく木島日出夫議員が設計会社と受注業者が事前に鈴木事務所で会合した事実を暴露

22外務省が内部文書の存在認める

26鈴木氏が弁明書発表

27「ムネオハウス」への消費税上乗せ問題も浮上。支援委負担で鈴木氏出張の事実も。いずれも日本共産党の追及
3.外務省が鈴木疑惑で調査報告書公表。鈴木氏との「異常な関係」認める

日本共産党の児玉健次議員が北海道開発局(現国土交通省北海道局)の内部文書示し、農地整備事業での鈴木氏の圧力追及

佐々木氏が防衛施設庁の内部資料示し、米軍実弾砲撃演習にともなう物資調達疑惑を追及

日本共産党の筆坂秀世書記局長代行が歯舞、色丹での土地買い占めの動きを追及

11衆院予算委で鈴木氏の証人喚問。日本共産党の志位委員長、再喚問と議員辞職を要求

12野党4党が議員辞職勧告決議案を衆院に提出

13与党が辞職勧告決議案の採決に反対、先送り。自民党、政治倫理審査会開く

15鈴木氏、自民党の政倫審で弁明。直後に離党


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ムネオ疑惑解明は他人まかせの小泉首相

出処進退「本人が決めるもの」

小泉首相語録

1月30日

 ・(鈴木衆院議運委員長の辞任について)潔い身の処し方だと思い受け入れた(記者会見で)

 ・(アフガン復興支援会議へのNGO排除について)結果的にアフガン会議が成功して、NGOと協力していくことでいいのではないかと言っている(参院予算委)

2月7日

 ・(鈴木議員の証人喚問要求について)よく国会で議論していただきたい(衆院本会議)

 ・必ずしも企業・団体献金が悪とは思っていない(同)

2月12日

 ・(NGOと政府見解の食い違いを問われて)大西氏と鈴木氏の間で交わされた意見はどうでもいい(衆院予算委)

2月22日

 ・(川口外相に対し)遅くとも十日以内、できればもっと早く報告しなさい(首相官邸で)

2月25日

 ・(鈴木議員の証人喚問について)本予算成立のためにこの問題が支障になってはならない(記者団に)

3月11日

 ・(証人喚問をどう見たかの問いに)聞いていなかった。後で状況を聞きます(記者団に)

 ・(野党の辞職勧告決議案について)出処進退は本人が決めるものだ(同)

3月12日

 ・(「北方四島」の返還は不要との鈴木発言について)事実ならとんでもない話。政治家として何考えてるんだろう(記者団に)

3月13日

 ・(鈴木議員の外務省職員への暴行について)言葉の暴力もいけないけど、本当の暴力もいけないね(記者団に)

 


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