日本共産党

2002年3月13日(水)「しんぶん赤旗」

「豊かさ」感じるために

暉峻・埼玉大名誉教授ら招き質疑

西山、畑野両議員が質問

参院調査会


 六日の参院国民生活・経済に関する調査会において、「国民生活の変化に応じた社会保障制度の在り方」のテーマで、山崎泰彦上智大学文学部教授、城戸喜子慶應義塾大学商学部教授、暉峻淑子(てるおか・いつこ)埼玉大学名誉教授を招き、参考人質疑をおこないました。

 西山とき子参院議員は調査会の大きなテーマである「豊かさとは何か」の視点について、国民が豊かさを感じられない現状を指摘し、質問をしました。

 山崎参考人は豊かさについては、自分の人生を自分で決めること、選択の幅が広がる世界ということを示しました。また、城戸参考人は、「豊かさとは時間と空間(住居も緑の環境等もある)と安心感だ」としました。

 暉峻参考人は、「豊かさとは、簡単にいえば安心であり、社会保障と社会資本を土台にして何度も人生に挑戦できる、そして自由な人生を選んで自分の能力を発揮できる社会であり、特に子どもの場合は、自然との共生が心の中の優しさとかゆとりが生まれるために大切である」と強調しました。

 また、家族介護手当について、日本共産党は不可欠の立場であることを表明し、評価についてドイツとの比較を含め質問。

 これに対し、山崎参考人は「家族介護手当は不可欠であり、ドイツのように介護する家族にではなく高齢者本人に渡して、家族なり近隣の方に介護を依頼して報酬を支払うこと」を主張しました。城戸参考人は「母親の入院の体験から家族が介護に関与できるなどの生やさしいものでなく、介護保険があっても家族介護は避けられない事態であること。さらに、都市部での単身の家族が、介護しながら一方で働かなければ経済的にも厳しい場合には、労働時間を減らし介護に当てるために、その分を機会費用として保障すべき」と家族介護手当の必要性を強調しました。

 さらに、暉峻参考人は「日本の介護保険制度はドイツと比較すると、現物給付のみで金銭給付を検討しなかったことを大失敗」と指摘、高齢者の普遍的な心理である自分の心を許せる知り合いに介護してもらいたいということを優先するために、日本でも安心のために金銭給付を作ることが大事と述べました。

 畑野君枝参院議員は、デフレ問題にかかわって、雇用と将来への不安という二つの問題をなくすことが必要とのべ、雇用の安定と失業対策、社会保障のあり方について質問をしました。

 暉峻参考人は、エンゲル係数を例に、「百年以上前に、エンゲルは『国の富は生活の内容なんだ』と国民がどういう生活をしているかということ」で家計調査をはじめたことを紹介。パートで済ましてしまうような日本の労働はアメリカ式であり、ヨーロッパのような労働の質を高めることが求められ、より雇用の安定と失業対策が必要であることを強調。

 「ドイツの高校・大学のように授業料がなければ、人生何度でも挑戦できるし、家賃補助があれば安心して住めるように社会的に安定したものがある」ということが大事と主張しました。

 


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