日本共産党

2002年3月12日(火)「しんぶん赤旗」

人口密集地上空で夜間訓練

陸自ヘリ衝突 事故調査報告書で判明

首都圏全域で ストロボ灯なし


 大分県で陸上自衛隊のヘリコプター同士が衝突し墜落する事故が七日に起きましたが、昨年二月十四日にも千葉県で同じOH6D機が夜間飛行訓練中に同様の事故を起こしています。本紙は、情報公開法にもとづき事故調査報告書を十一日までに入手。陸上自衛隊のヘリが首都圏を夜間飛行訓練するさい、館山自動車道(千葉・蘇我から木更津まで供用)の明かりを目印に人口密集地上空を飛んでいることが分かりました。

 事故は、市原市の館山自動車道そばの山林で、木更津基地所属のヘリ同士が接触して一機が墜落したものです。

 本紙が入手した陸上幕僚監部航空事故調査委員会の報告書は「館山自動車道沿いは、石油コンビナート等の飛行制限空域の制約から、慣例的に使用される飛行経路となっている」とのべています。

 事故調は、首都圏全域を使って事故機が訓練したルートも公表。OH機は練習機として使用されており、目視で地上の目標物や水平線を利用して飛ぶ有視界飛行方式(VFR)で、地上の目標を選んで飛ぶ訓練をしていました。

 ヘリが衝突を避ける手段は一にも二にも“見張り”です。経験の浅い一等陸曹が「見張り不十分」(事故調)で、両機とも「機材の操作・無線通信」や「地点評定・機内通話」に没頭していたなかでおきています。

 航空評論家の青木謙知さんは「目視航法であれば、川や町、道路を頼りに、正しい位置を自分の目で割り出して飛ぶ。夜間飛行であれば週二回程度行われる」といいます。

 報告書は、OH機と接触した対戦車ヘリAH1S機の「左右航法灯は上側半分、尾灯は外側半分がマスキングテープ及び塗料で塗った減光処置がなされていた」と指摘。灯火を暗くして飛んでいたことが分かりました。

 青木氏は「実戦的訓練だからだ。民間機は安全優先で必ず灯火するが、戦争中のヘリは、無灯火で飛行することもある。日ごろの訓練でも、明かりを半分くらい消すことはある」といいます。

 報告書によれば、民間機には付いている高輝度の白色せん光灯(ストロボライト)が未装備。千葉県平和委員会の紙谷敏弘事務局長は「住宅地上空の実戦的訓練の危険性が浮き彫りになった」としています。

 


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