日本共産党

2002年3月11日(月)「しんぶん赤旗」

「日常断ち切られた」 国民の心に深い傷跡

米同時テロから半年

戦争拡大に進むブッシュ政権


 三千人以上の死者・行方不明者を出した昨年九月十一日の同時テロからこの十一日で半年となります。テロ容疑者ウサマ・ビンラディンをかくまっているとして、アフガニスタンにたいして報復戦争を起こした米ブッシュ政権は「悪の枢軸」論を主張しながら、新たな戦争拡大の構えです。旅客機が突入し、二棟が倒壊したニューヨークの世界貿易センタービル周辺では復旧作業が続いていますが、いまなお傷跡は深く、米国民の心にも陰を落としています。(西村央記者)

倒壊現場周辺無人のビル群

 世界貿易センタービルが倒壊した周辺は、倒壊したビル以外でも二十数棟がいまだに無人のまま。倒壊現場を見ることができる「展望コーナー」を訪れる人の波は絶えません。

 ニューヨーク市の中心にあるグランドセントラル駅地下のコンコースには、今も貿易センタービルの倒壊で行方不明になっている人の写真や仕事内容、身体的特徴を書いたメモが張り付けられたコーナーが設けられています。生活感をただよわせた写真からは、「日常が断ち切られた」ことからくる悲しみが伝わってきます。

 先のソルトレーク冬季五輪では、貿易センタービルに掲げられていた星条旗が開会式に持ち込まれました。米国内のテレビは、五輪競技の放映というより、米国選手の活躍偏重報道でした。ヒューストン市でエンロン社倒産問題の取材のなかで、この五輪に関連し、「同時テロ後、米国は何でも相手を倒さなければならない、米国が勝たなければならないという意識に凝り固まっている」という経済関係者の声を耳にしました。

 ブッシュ大統領や政権首脳は同時テロ後、演説のたびに「九月十一日」にふれ、テロリストとのたたかいの必要性を強調します。

 ブッシュ大統領は国政全般の基調をのべる一月二十九日の一般教書演説では、テロ組織の脅威の打破とともに、北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と呼んで敵視し、戦争拡大の姿勢を示しました。

 しかし、これにたいしては、同時テロ事件が「ブッシュ氏に無限の狩りの許可証を与えてはいない」(ニューヨーク・タイムズ一月三十一日付社説)との警告も出されています。

軍事介入に広がる疑問

 ブッシュ政権は「アフガニスタンは始まりにすぎない」として、国際テロにかかわりがあると米政府が認定すれば、どの国にたいしても軍事介入するという構えを崩していません。そこには武力行使を厳しく制限する国連憲章を尊重する姿勢はみじんも感じられません。

 重視しなければならないのは、こうした米国の軍事介入がテロ組織の根絶に役立っているのかという点です。

 英紙ガーディアン(一月十日付)は、タリバン政権を打倒したアフガニスタン攻撃を振り返りながら、この問題の解明に取り組んでいます。イギリスの国際戦略研究所(IISS)研究員の分析を紹介した記事では、アルカイダのような国際テロ組織は、アフガニスタン国内の訓練基地などを破壊されたとしても、世界各地に広がっている組織が、発達した通信技術を使うことで、引き続き国際規模のテロ組織としての活動を維持するだろうとのべています。

 テロを支える構造自体を変え、テロ組織を包囲し、孤立させる国際的大同団結を目指すのではなく、軍事的報復や戦争拡大では、テロ根絶にもつながらないばかりか、新たな混乱を生むことにほかなりません。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp