2002年3月11日(月)「しんぶん赤旗」
【ワシントン9日坂口明】米紙ロサンゼルス・タイムズ九日付が暴露した「核態勢見直し(NPR)」報告機密部分は、核兵器廃絶を求める国際世論の流れに抗して核兵器をあくまで死守し、その実戦使用を目指すブッシュ米政権の危険な戦略を、改めて明らかにしました。
米政権が一月八日に議会に提出したNPRは、ほぼ全文が機密文書。しかし、国防総省の概要説明やエネルギー省担当者の議会証言(本紙二月二十二日付既報)などで、若干の特徴は浮かび上がっていました。
(1)新型核兵器の開発の促進、(2)そのための地下核実験再開準備態勢の強化、(3)現有核兵器の性能向上、(4)核弾頭製造施設の強化――などです。核兵器と通常兵器を結合して核使用の敷居を低くする、大量破壊兵器の脅威にも核兵器で対処する方針も示されました。
今回の暴露ではさらに、核攻撃の潜在的対象と想定される国、核兵器使用が想定される状況が明らかにされました。
核攻撃の潜在目標とされる七カ国は、核保有五カ国から米同盟国を除外した中国、ロシアと、「ならず者国家」とされてきた諸国です。このリストは、これまで公開された情報からも予想されたものですが、米国の公式文書に明記されているとなれば、関係国の強い反発を招くのは必至です。それはまた、これらの国の核などの兵力増強の誘因ともなるものです。
核兵器使用のシナリオでは、非核攻撃に耐えられる標的の攻撃や大量破壊兵器使用への報復のほか、「予期せぬ軍事動向」にも核を使うというのですから、核使用の制約条件はないに等しい状況になっています。
地域的には、中国・台湾間や朝鮮半島など、日本に極めて近い地点での核使用が想定されていることは重大です。
またNPR機密部分では、小型核兵器開発以外にも、空軍の巡航ミサイルを「必要なら核弾頭を運搬できるよう改良する」ことや、新規配備されるF35共同攻撃戦闘機が「手ごろな価格で」核兵器を搭載できるよう改良することも指示されているといいます。これは日本など、核攻撃潜在目標とされる国以外の諸国にとっても、核使用が差し迫った問題となることを意味しています。
米メディアによれば、今回の報道に政府高官は、NPRは「行動計画」ではなく「政策声明」だと説明しています。しかしベトナム侵略戦争で「核兵器を使いたい」とニクソン大統領が述べていたことが明らかにされたばかり。米政権の核使用への飽くなき願望は否定しようがありません。
核使用戦略への転換を示す新NPRの背景には、ラムズフェルド国防長官が一月末の演説で確認したように、米国の膨大な核抑止力も昨年の同時テロを「抑止」できなかった事実があります。
これまでも米軍の「全面的優勢」を確保する戦略をとってきた米国は、テロ事件を契機にその方針をさらに強化。米国に刃向かう意図をもつ国や勢力は、核兵器使用も含め、米国が有するあらゆる手段で粉砕するというのが、新NPRの立場です。
しかし、破壊力が相対的に小さいとはいえ、道義も国際法上の根拠も投げ捨てて核兵器を使うことが、対米テロを防止する保障となるはずがありません。それは逆に、核軍拡を広げ、核戦争の危険を高め、国際テロに新たな土壌を提供し、米国の安全をも損なうだけです。
核兵器を含む大量破壊兵器の脅威の除去は、核兵器廃絶はじめ大量破壊兵器の廃絶によってしか達成できない。このことが、ますます明らかになっています。
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