2002年3月7日(木)「しんぶん赤旗」
![]() 月刊紙の点字版を手にする全視協の阿部正文さん |
総務省は郵政事業の公社化後に第三種・第四種郵便物の廃止あるいは値上げを検討し、今月中旬にも郵政公社法などの法案を提出しようとしています。障害者団体や機関紙を発行している各団体から第三種・四種の廃止・値上げに反対する声が広がっています。
全日本視覚障害者協議会(全視協)総務局次長の阿部正文さん(33)は「視覚障害者、聴覚障害者は情報障害者といわれています。普通の印刷物だったら行間隔や文字を縮小するなどして制作費を節約することもありえますが、点字はマスの大きさや行間隔を縮小するわけにはいきません。また多くの人が点字図書館から点字やテープの本・雑誌を借りて情報を得ています。点字郵便物が有料になれば視覚障害者の読書は途絶えてしまい、情報から孤立させられている状態が一層深刻化するでしょう」。
障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協議会副会長の岡村章三さん(50)は「経済的に豊かでない障害者運動にとって第三種が廃止になると会報発行回数を減らさざるをえなくなります。全ての障害者に情報が伝わらないことによって運動が停滞してしまう。作業所などは寄付してくれる人に会報を送って市民に知らせる活動もできなくなる、と危機を感じています」と話します。
市民団体、労組など約二〇〇〇団体が加入している日本機関紙協会の桜井輝治常任理事(52)は「情報を会員に伝えるのが機関紙の役割。多くの民主団体が週刊にしていることで一週間のリズムで運動がつくられています。第三種郵便物が廃止されれば各団体の運動システムが破壊されかねない問題です。新聞・出版・機関紙発行が困難になり新たなメディア規制につながる危険性があります」と語ります。同協会は関係団体とともに「第三種存続を求める連絡会議」(仮称)をたちあげて総務省などへ要請行動を展開する予定です。七日、午後一時半から東京・千代田区の主婦会館プラザエフ三階「コスモス」で「第三種郵便の継続を求める懇談会」を開きます。
第三種郵便物 新聞、雑誌など年四回以上定期的に発行する刊行物で郵政事業庁長官の認可をうけたもの。認可件数は二〇〇〇年度末現在(一般・低料合わせて)、一万三千五百十五件(郵政事業庁統計)。
第四種郵便物 公共の福祉の増進を目的として郵便を低料または無料にしているもの。盲人用点字印刷物・録音物など、通信教育のための郵便物、農産種苗等、学術刊行物など。第四種郵便物のうち盲人用録音物等を発送・受け取りをおこなう施設等の指定件数は二〇〇〇年度末現在二千二百五十四件。
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