2002年3月4日(月)「しんぶん赤旗」
「雪印ブランド」は残れるのか―。もうけを優先し、消費者の信頼を決定的に裏切り、企業存続の危機を迎えている雪印乳業で、「二度と過ちをくり返すな」「労働組合は会社のチェック機能を果たせ」と労働者有志が各地で立ちあがっています。神奈川県海老名市にある厚木工場では、「明るい雪印をつくる会」(厚木の会)が職場新聞「こぶし」を発行し、運動を広げています。(原田浩一朗記者)
「こぶし」は、月一回発行し、工場門前で配布するほか、職場での手渡し、郵送などで労働者に届けています。
手にした労働者が真剣な表情で読み、「私のいいたいことをよく書いてくれた」、「『こぶし』のいう通りだ」と共感が寄せられています。
「こぶし」二月号は、雪印乳業が再出発を誓って努力しているさなかに雪印食品の事件が発覚したことについて、「神奈川新聞」が「会社ぐるみの犯罪に、組合はいったい何をしていたのだろうか」ときびしく批判していることを紹介。「労資の緊張感がなくなったら、おしまい。経営をチェックできなければ会社は腐っていく。『組合がしっかりしていればこんなことにはならなかった』という組合員の悲痛な声を受けとめてほしい」とのべています。
さらに、労働組合がなんとしても雇用を守るたたかいをやるべきだと指摘。同時に、法律や社会の常識からみて、「おかしい」という疑問をもった労働者が、ためらわずに発言できる民主的な職場風土づくりを組合の立場からもとりくむよう求めています。
「会」はこれまでも、「消費者や従業員を大切にして安全を提供する雪印へ」と積極的に提案し、サービス残業(ただ働き)の横行や労働災害隠しを告発、是正させる、社員食堂の改善などの成果をあげてきました。
「こぶし」の発行責任者の沢田和雄さん(55)ら「会」のメンバーは「食の安全や消費者の健康を何よりも守るべき食品メーカーが効率優先や利潤第一主義に走るとどうなるか、職場のルール確立の大事さを訴えていきます」といいます。
雪印乳業では、一九七〇年代に会社がインフォーマル組織(秘密労務組織)を育成して組合活動に介入。組合を会社いいなりに変質させ、品質第一の安全な商品を提供しようと奮闘する組合活動家に対して、賃金や昇格差別、徹底した“職場八分”を行い、これをテコにして労働者支配を強めてきました。十三年余に及ぶたたかいの末、会社に事実上謝罪させ、差別を基本的に是正させました。「会」の中心になったのも、争議団のメンバーでした。
「会」が今年一月末、会社経営へのチェック機能を果たすよう申し入れたとき、雪印乳業労働組合(連合・食品連合)の分会役員が「意見の違いはあるが、この危機を乗り切るためにお互い協力しよう」と語りました。
一昨年夏の大量食中毒事件で、雪印牛乳のシェアは激減しました。その後、ようやく七割程度まで回復してきた矢先の雪印食品の不祥事で、シェアはあっという間に半減。雪印乳業はさらなる人減らし、工場閉鎖などのリストラ「合理化」計画を近く発表するといわれています。
職場では、「最近、雰囲気が暗い」「ため息をつくような気持ちで仕事をしている」と労働者がささやいています。
「会」では、北海道の雪印乳業の労働者たちがなべを囲んで本音を話し合うとりくみをしていることを「しんぶん赤旗」報道で知り、「すごく励まされた」といいます。「雪印の再生のために、率直な討論を労働者のなかで幅広くおこしていこう」と話し合っています。
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