2002年3月4日(月)「しんぶん赤旗」
雪印食品につづき、大手食肉会社スターゼンによる食肉偽装事件が発覚しました。
同社の佐賀パックセンターが、国産の牛・豚・鶏肉の品種や産地を偽ってパック詰めし、スーパーなどに卸していたといいます。これまでに会社が認めただけでも、偽装は数年に及び、豚肉の場合、出荷量の四割にのぼるなど大がかりなものです。
農水省は、日本農林規格法(JAS法)違反の疑いで調査を始めています。
銘柄品と偽って、会社が不正に得た利益は判明しているだけでも一千万円にのぼります。雪印同様、利益のためには法律に違反してでも不正に走る体質に染まっていることを、鮮明にしました。
農水省の調査でBSE(狂牛病)対策の国の買い取り制度を悪用した偽装が、雪印食品以外にもあることも明らかになりました。そのなかには、品質保持期限が切れて二年以上もたつ肉も混じっていました。
雪印食品、スターゼンと相次いだ食肉偽装の発覚は、食品表示への消費者の不信感を広げています。
肉の産地や品質保持期限のように、消費者には一見しただけでは見分けがつかないものは、表示への信頼性が決定的です。それへの不信が広がれば、銘柄品の信頼が損なわれ、ひいては産地への大きな打撃となります。
武部農水相のように、「食肉業界の自主的努力によって、消費者の信頼回復に努める」といっている段階ではありません。
雪印食品の牛肉偽装事件では、牛肉の産地や賞味期限の表示ラベルを張り替えても、行政のチェックはおこなわれていないなど、現行制度の欠陥が浮き彫りになりました。
偽装表示の横行を許してきた、国の責任がきびしく問われなければなりません。
食品にかかわる正確な情報を提供することは、人によっては生死にもかかわる重要なことです。たとえば、微量でも、ソバ粉の混ざったコショウは、「ソバアレルギー」の人にとっては生死をわける原因にもなります。
また、食品添加物や遺伝子組み換え食品などの表示は、消費者の知る権利として欠かすことのできない権利です。
安全性の確保とともに「できるだけとりたくない」「食べたくない」という消費者の選択する権利が保障されなくてはなりません。
食品表示の偽装は、こうした消費者の知る権利、選択する権利にたいする侵害であり、背信行為です。
食品表示への不信を断ち切るためにも、消費者の知る権利、選択する権利を保障する「表示」を制度的に確立することがいっそう重要になっています。
表示制度を確立するためには、その表示が正しいかどうか検証する検査体制の確立が不可欠です。人員の配置を含めその体制をつくることは国の責任です。
食品衛生法では、表示の基準と虚偽表示の禁止が盛り込まれていますが、「公衆衛生の見地から」だけであり、「消費者の選択を保障する見地」はありません。これを抜本的に改正して、消費者の知る権利、選択の権利を保障することは急務です。
食肉偽装事件で問われているのは、企業の利益ではなく国民の健康と食の安全を最優先にした食品行政に転換できるかどうかです。
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