2002年3月1日(金)「しんぶん赤旗」
総務省・郵政事業庁は郵政事業の公社化による民間参入に伴い、採算性を追求する立場から第三種・第四種郵便物の廃止あるいは値上げを検討しています。今国会内の三月中旬に郵政公社法、信書便法などの法案を提出し、六月中にも成立を図ろうとしています。
もともと第三種郵便物の制度は「新聞・雑誌等国民文化の普及向上に貢献するところの大きい定期刊行物の郵送料を安くして購読者の負担の軽減を図り、その入手を容易にするため(郵便法)」設けられました。
第四種については「政策上特に料金を低料にすることが適当である」各種の郵便物を対象にしています。
郵便の歴史を見ていくと第三種郵便は一八八三年(明治十六年)に正式に分類され低料金になり、一九一七年(大正六年)には盲人用の定期刊行物を加えています。
二〇〇〇年度の第三種・第四種郵便物数は十一億通を超えており、多くの団体や利用者に与える影響は重大です。
通常郵便物と呼ばれる第一種郵便との料金と比較してみると、もし現行の定形郵便物料金を月三回以上発行の新聞を購読する第三種利用者が負担するとなると一通につき一・三倍から一・五倍に。タブロイド判などの定形外になると五十グラムまでは月四回で二百四十円(一通六十円×四)から四百八十円(一通百二十円×四)と二倍以上にもなります。
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)事務局長の山本英典さん(69)は「小泉流の弱い者いじめ。『言論の自由』を財政的な保障をなくして絵に描いたモチにするもの。意思を伝えようという手段を奪う、民主主義の根幹にかかわる問題です」と語ります。東友会は被爆者団体として心身障害者団体なみの扱いで月一回、会報を発行しています。現在一通十五円ですが第三種が廃止されると八十円、九十円と五倍以上にはね上がります。
都内の郵便局で働く男性(31)は「点字郵便あるいは災害時郵便といった無料のサービスは地域社会や福祉に大きな役割を果たしてきました。赤字だからという理由で第三種、第四種を廃止するという考えはあまりにも利用者を無視していると思います」と語りました。
第三種・第四種郵便物制度は、日本の文化を発展させるために寄与しており重要な役割を果たしてきました。国民の知る権利、表現の自由、言論の自由を守るうえでも重大な問題です。
今年五月の総務大臣の諮問機関である公社化研究会(座長は南直哉・東京電力社長)の最終答申に向けて、第三種・第四種の存続を求める国民的な運動を広げましょう。
第三種、第四種郵便とは 第三種に該当するのは毎月三回以上発行する新聞や心身障害者団体が心身障害者の福祉を図ることを目的として発行する定期刊行物です。
第四種に該当するのは通信教育のための郵便物、目の見えない人のための点字印刷物や録音物、農産種苗等、学術刊行物です。
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