日本共産党

2002年2月17日(日)「しんぶん赤旗」

鈴木宗男議員が強引誘致

こんどはJICA(ODA実施機関)施設

地元・帯広 受注企業から献金


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国際協力事業団北海道国際センター(帯広)=同事業団のパンフレットから

 自民党の鈴木宗男衆院議員が外務政務次官当時の九一年、外務省の外かく団体である国際協力事業団(JICA)の国際研修施設を、JICAの選定作業も無視して、地元選挙区(旧北海道五区)の帯広市に強引に誘致したことがわかりました。全国に十一カ所しかなかった研修施設を北海道で二カ所同時に新設する異例措置で実現したもの。建設費は政府開発援助(ODA)でまかなわれ、工事受注企業から鈴木議員に政治献金もおこなわれていました。

 JICAは、ODAの実施にあたる特殊法人。九一年当時、JICAの国際研修センターは東京など十一カ所に設置され、十二番目をめぐって北海道の札幌と帯広、さらに仙台、金沢、広島などの自治体が誘致を競っていました。

 このため、JICAは九一年七月、自治体の誘致の動きをふまえ、「研修施設のあり方に関する調査検討委員会」を設置し、立地選定基準などを検討。九二年二月には、設置場所について「道府県所在地またはこれに準ずる都市」など「立地選定の基準(案)」を盛り込んだ報告書をまとめました。

 ところが、鈴木議員は、報告書がまとまる三カ月も前の九一年十一月四日、帯広市内で記者会見。国際研修センター新設のため、外務省が九二年度予算の概算要求に盛りこんだ調査費(一千万円)については「札幌、帯広両市への設置に向けたもの」と説明(「北海道新聞」九一年十一月五日付)し、JICAの作業などは無視した形で、「札幌・帯広」に誘導しました。

 「札幌か帯広か」で争われた道内の誘致合戦でも、大蔵省が「一度に二カ所の設置は無理」「引く手あまたの施設を道内二カ所も作るのは妥当か」と難色を示し、札幌にしぼる方向が出ていました。

 しかし、鈴木議員はこれにも異論を唱え、「第三セクター方式」の運営で、二カ所を同時建設する異例の方針を事実上確定させました。

 帯広の建築工事は、フジタ・萩原建設工業の共同企業体が九億七千万円、機械設備工事はトーヨコ理研・三洋興熱が三億円でそれぞれ受注。政治資金収支報告書によると、萩原建設工業は、鈴木議員の自民党支部と資金管理団体に総額三百九十四万円(九六年〜二〇〇〇年)、三洋興熱は八十四万円(同)を献金しています。

 鈴木議員の事務所は本紙の取材に十六日現在、回答していません。

 


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