2002年2月12日(火)「しんぶん赤旗」
政治家の秘書、元秘書が、公共事業の発注側である中央省庁や地方自治体と、受注側企業との間に介入し、ばく大な「口利き料」を得ていた疑惑が相次いでいます。政治家の肩書や影響力を背景にして税金を食い物にした疑惑の真相を、国会が解明するのは当然の責務です。(古荘智子記者)
自民・加藤紘一元幹事長の事務所代表だった佐藤三郎氏は九四年に加藤事務所に入り、“金庫番”としてらつ腕をふるいました。加藤氏が総裁選に出馬した九九年には過去最高額の五億五千五百万円、森内閣不信任決議案に同調する動きを見せた「加藤の乱」の二〇〇〇年には政界トップの四億六千三百万円の政治資金を集めています。
一方で、所有する不動産賃貸会社を受け皿に、公共事業にからむ「口利き」ビジネスを展開。加藤氏の地元である山形の建設会社から、受注額の数%にあたる「口利き料」を受け取るなど数億円を得ていたとされます。
企業からの「口利き料」にとどまらず、献金や機関誌広告料として巨額の金が加藤氏の政治資金管理団体「社会計画研究会」に流れました。企業にパーティー券を買わせたうえ、「パーティー成功のため」として百万円単位の「協力金」まで払わせていたことも発覚しています。
議員のために巨額の政治資金を集めた佐藤氏について、加藤氏自身が「私に大変尽くしてくれた人」と語っており、二人三脚の関係でした。真相を明らかにするには、加藤氏の証人喚問が欠かせません。
六日に民主党を離党した鹿野道彦衆院議員の元秘書、尾崎光郎容疑者は、ゼネコン汚職後の一九九四年にコンサルタント会社「業際都市開発研究所」(業際研)を設立。秘書時代の人脈を利用して公共事業の発注者側に働きかけ、受注した企業から「口利き料」を受け取っていました。
茨城県石岡市長が代表を務める湖北水道企業団発注の工事で尾崎容疑者は、かつての秘書仲間を介して市長から入札情報を聞き出し、入札参加予定の日立製作所に伝えました。下妻市の発注工事にかかわっては、受注した戸田建設に事前に成功報酬を要求していたとされます。
鹿野氏は尾崎容疑者の逮捕時に「八年前に辞めた秘書で一切無関係」と事件とのかかわりを否定していました。しかし、業際研から私設秘書に昨年四月まで給与が支払われていたことが発覚。
「任せきりだったので承知していない」とのべていますが、「知らなかった」ではすまされません。
一九九三年のゼネコン汚職では、自民党・金丸信副総裁が「まんじゅう代」「コーヒー代」などと称してゼネコンなどから「口利き料」としてヤミ献金をかき集めました。当時、政治家が直接公共事業の「口利き」をして企業からヤミ献金を得たのに対し、今回は秘書や元秘書が自治体首長と企業の間をとりもち、「口利き料」を得ました。金権腐敗の根は広がっています。
小泉首相は「まず疑惑を持たれた政治家が対応すべきだ」とのべ、自党の議員の疑惑に対して人ごとのような姿勢に終始しています。日本共産党が要求する加藤、鹿野両氏の証人喚問に対しても「議院の運営に関する問題で国会で議論していただきたい」というだけで、真相解明に背を向けています。
しかし、「口利き」疑惑は人ごとで片づけられません。「金丸ゼネコン事件」のとき、自民党は「自らカネの問題にまつわる悪弊の根を断ち切る」と国民に約束したからです。
しかも一連の疑惑は、政治家が企業献金に依存する体質から生まれたものです。ところが首相は「企業・団体献金は必ずしも悪ではない」「スポーツや芸術は企業の寄付、協力なしに成り立たない」と発言し、企業・団体献金を擁護しています。
金権腐敗政治を断ち切るには、その根本にある企業・団体献金を禁止することが一番確かな道です。
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