日本共産党

2002年2月10日(日)「しんぶん赤旗」

えひめ丸事件一周年

原因は…、心いやされぬ遺族


 愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が、米原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突されて沈没、実習生ら九人が犠牲になった事件は、いまだに実習生の水口峻志さん(当時十七歳)が行方不明のまま、十日で一周年を迎えます。

 昨年十月、八カ月ぶりに引き上げられた「えひめ丸」から収容された寺田祐介さん(当時十七歳)の父親、亮介さん(46)は八日、慰霊碑の除幕式祭がおこなわれるハワイへの出発準備に追われるなか、心境を語ってくれました。

 「なんの落ち度もない祐介たちの命を一瞬にして奪ったあの事故をどうしても許すことはできません。一年たっても、私たちには区切りにならないのです。艦長がなぜあの時、あそこで原潜を浮上させたのかなど、疑問点はたくさんあります。事件の真相が究明され、再発防止の具体策がとられるまで、私たちの心は癒されません」

 昨年末には、二遺族が委任した「えひめ丸被害者弁護団」(豊田誠団長)が、米原潜のソナーが「えひめ丸」の進行方向を逆さまに認識するなど、事故原因にかかわる事実を割り出しました。

 しかし、米海軍は、補償交渉の前提となる、こうした事実の解明にさえ回答を拒絶しました。

 事件の責任が百パーセント米側にあることは、米海軍も認めています。

 しかし、(1)事故原因の究明(2)再発防止策(3)適正な補償(4)関係者、とくに艦長の謝罪――を求めた六月以来の補償交渉は難航しています。

 同弁護団の富永由紀子事務局長は「なぜ遺族が、情報開示を米海軍側に直訴しなければならなかったのか。本来なら、遺族のために率先して米側と交渉すべき日本領事館・外務省関係者が、何もしなかったからです。むしろ、遺族のじゃまをしたというのが実態でしょう。日本政府は真相解明を米側に求めるべきです」と語ります。


リメンバーえひめ丸

東京で15日に集い

 真相と問題点を広く知らせ、事件を風化させないよう各界の著名人らが呼びかけた「リメンバーえひめ丸のつどい」(十五日午後六時半から、東京・弁護士会館で)の記者会見が九日、都内で開かれました。真相究明を求めるパネルディスカッションや遺族の訴えなどを予定。

 


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