2002年2月4日(月)「しんぶん赤旗」
欧米では、非政府組織(NGO)への信頼度が急速に高まり、政府や企業と肩を並べるまでになっていることが、二日発表された各国のオピニオンリーダーたちへの意識調査で分かりました。欧州ではアムネスティ・インターナショナルなど人権擁護団体や環境NGOが、マイクロソフトやフォードなどの大企業より組織として高い信頼を得ています。
この調査は、世界的な通信広告企業エデルマン社の調査部門が米国四百人、欧州(英独仏)四百五十人に対して政府、企業、メディア、NGOの四者に対する考え方を調べたもので、昨年に続いて二回目。
それによると、欧州ではNGOへの信頼度が51%と、企業の41%、政府の26%より高く、「もっとも信頼できる組織」としての地位が確立しています。米国でもNGOの信頼度は昨年の36%から41%にアップ。企業の44%に匹敵する高さになり、テロ事件で27%から48%に上昇した政府への信頼度に迫っています。
欧州では最も信頼できるブランドとして、アムネスティ・インターナショナル、世界自然保護基金(WWF)、グリーンピースが上位三位を独占。マイクロソフトやバイエル、コカ・コーラといった企業への信頼度を上回っています。米国でも、首位のマイクロソフト以外、三つのNGOはフォードなどと肩を並べています。
エデルマン社では、今後もNGOの比重が高まると予測。世界的な統治機能(グローバル・ガバナンス)の中で、NGOが政府や企業、メディアと並ぶ地位を確立していくとみています。特に環境や社会正義の分野では信頼性を発揮していると指摘しています。
欧州と米国の双方で、企業の社会的責任を求める意見が強まっていることも、調査のもう一つの特徴です。景気後退のもとでも十人中九人までが企業はいっそう社会的責任を引き受けるべきだと回答しています。
企業責任の内容として最も重視すべきだとするのは従業員への扱いで、欧州で88%、米国で77%と最も高くなっています。続いて国民への誠実さ、環境保護、社会への責任の順。全体として欧州の方が米国より社会的責任の要求が強く、これに対して米国は「地域社会への貢献」とブランドなどで欧州を上回っています。
こうした傾向を反映して欧米のオピニオンリーダーたちは、今後もNGOの比重と企業に対する社会的責任を求める圧力が強まると予測。企業は株主だけでなく、従業員や下請け関連企業、消費者や地域社会といった利害関係者との関係を、より濃密に透明性をもって築き、相互活動を強めることがますます重要になると指摘しています。(ロンドンで田中靖宏)
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