日本共産党

2002年2月4日(月)「しんぶん赤旗」

NGOは国のものじゃない

法政大学教授 田中優子さん


 国際会議からのNGO(非政府組織)排除、田中真紀子外相更迭問題について、自らもNGO活動を支援している法政大学教授・田中優子さん(アジア比較文化専攻)に聞きました。

 NGOを排除し、外務省の問題にふたをしようとしていることに、腹がたっています。外務省や一部政治家が、NGOやNPO(民間非営利団体)がどういう存在かを知らないということがわかって、ショックです。そこまで知らないのかという感じです。ただ、外務省のよく見えないところが見えてきたということではよかったと思っています。

見えない「利権」

 鈴木宗男議員はNGOの代表に「お金は一銭も出さんからな」といっています。彼は外務省のお金を握っていたのです。外務省官僚や一部の政治家のこんどの行為には、政府のお金、つまり国民の税金が直接NGOのもとに渡されると不都合だという意図が働いているのではないでしょうか。

 もしかしたら、外交機密費やODA(政府開発援助)などの外務省のお金の流れ、利権の構造が広くおよんでいて、外相を切ってしまうことで、それがでるまえに小泉首相は幕引きしてしまったのではないでしょうか。外相が代わりましたが、たぶん、こんごは何も現れなくなるでしょう。ふたをしてしまう。しかし、それだけ、見えないお金の流れが広範囲にあるということも言えます。

 アフガニスタン支援のNGOはもう何十年もやってきています。渦中にあるNGO「ジャパン・プラットホーム」は国が関与しているところですが、別につながりが強くないところも多くあります。旧ソ連の侵攻で難民がふえたり、干ばつで苦しんでいるときから、ボランティアで病院をつくり、たくさんの井戸を掘ってきました。日本なら日本という、国のものではない。そのことへの認識が政府の態度にはみえない。

監視が必要

 アフガン復興支援会議で日本はたくさんの資金をだすことになりましたが、その運用にあたってはNGOの手を借り、動かしてやらなければならないのに、だれかが間に入って甘い汁を吸うのではないかという不安があります。

 政府・外務省がこういうことをやると、私は税金を払いたくなくなる。しょうがないから払っていますが、自分で直接NGOにつながり、収入の一部を届けて、その活躍のために使ってもらいたいと思います。NGOは個々の人が自分の意思で参加するところです。

 マスコミにはどういうお金の流れがあるのか調べてほしい。見えていないことがきっとあるはずです。アフガニスタン支援の資金もどこで使われるのか、アフガンの人々の救援に役にたつのか、監視してほしいと思います。

 


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