2002年1月31日(木)「しんぶん赤旗」
外務省によるNGO(非政府組織)排除問題の本質は何なのか。「一政治家が介入し、その圧力に屈した外務省が外交をゆがめている」――三十日の参院予算委員会で日本共産党の筆坂秀世議員は、核心にふれまいとする答弁を繰り返す首相に迫りました。
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| 参院予算委員会でNGO排除問題を追及する筆坂秀世政策委員長=30日 |
筆坂議員 外相、事務次官が国会で食い違った答弁をしている。国会はウソをついても(それが)まかり通るということになる。首相はいったいどっちが本当のことをいっていると考えているのか。
小泉首相 そんな問題じゃない。結果的には(一時出席を拒否したNGOにも)参加いただいて、外務省と協力していこうということになった。
小泉首相は「外務大臣や事務次官がああいったこういったというのは水掛け論」「本筋ではない問題」と繰り返しました。
筆坂氏は「水掛け論などといってうやむやにしてよい問題ではない」と強調。「(外務省が一部NGOの出席を拒否したのは)不適切な対応だったと思わないのか」と詰めます。
“水掛け論”が通用しなくなり、首相は「(アフガニスタン復興支援国際会議は)結果的に成功したからいいではないか」と繰り返すだけ。すりかえ答弁に、審議はしばしば中断しました。
筆坂氏は「ことはアフガン復興へのNGOの役割を日本政府がどう評価しているか問われる重要な国際問題だ。だから田中前外相は激怒し、ただしたのではないか」とたたみかけました。首相は「適切でないところがあった。反省すべきところもあった」とやっと“反省”の言葉。それでも、「三人がやめることで事態を打開すると。おかげさまで今日(審議が)正常化した」と開き直りました。
小泉首相 役人はいちいち議員がどう言ったか覚えてない。役所には、鈴木さんが言おうがだれが言おうが、変な意見は全部排除し、反省してやれといっている。
筆坂議員 これから「こうする」というだけの話じゃないか。なぜ鈴木議員に説明に行けといったのか聞いている。
筆坂氏は、一部のNGO代表がアフガン復興支援会議から排除された背景に、自民党の鈴木宗男衆院議員の介入・圧力があったとして、真相をただしました。
外務省の重家俊範中東アフリカ局長は二十八日の衆院予算委員会で、ジャパン・プラットフォーム(JPF、NGO団体)の大西健丞さんに対し、会議に出席するために「自民党対外経済協力特別委員長の鈴木(宗男)先生に何らかの説明をした方がいい」と電話で伝えたことを認めています。「なぜ鈴木氏に説明に行けといったのか」と核心に迫る筆坂氏。
重家局長は「昨年来JPFの活動をめぐってさまざまな意見が表明されたことも念頭にあった」と繰り返し、何度も審議が中断します。答弁不能に陥り、委員長から「具体的に答弁を」と注意される事態に。そこへ小泉首相が局長をさえぎって答弁席に立ち、飛び出したのが冒頭の発言です。
筆坂氏は「なぜ鈴木議員に説明に行くよう言ったか答えられないことが、逆に鈴木氏がいかに外務省に影響力を持っているかを示している」とたたみかけました。
さらに筆坂氏は、外務省の野上義二事務次官が二十八日の衆院予算委で、大西氏の会議出席を認めるよう指示した田中真紀子前外相に対し、「経緯もあるようだから難しい」と返事した問題を取り上げました。出席拒否を決めた事務当局の責任者が野上氏なら、なぜ決定を変えるのが「難しい」となるのか――。筆坂氏は、外部からの圧力があったからにほかならないと追及しました。
筆坂 何が難しいのか。自分で決めたことを取り消せばいいことで、こんなバカな話はない。どう考えたっておかしいではないか。野上次官がうそをいっているといわざるを得ないだろう。
小泉 おかしいから(NGOを)出席させたんでしょう。
はぐらかす首相に筆坂氏は「問題の重要性を分かっていない。政治家が介入して国の外交がねじまげられ、良しとする。こんな小泉内閣に日本の外交を担う資格はない」と批判しました。
日本共産党の筆坂秀世参院議員が三十日、予算委員会でアフガン復興支援国際会議への一部非政府組織(NGO)排除をめぐる問題で追及しました。テレビ中継をみた国民から党本部などに反響がぞくぞくと寄せられました。
「日本共産党を毛嫌いしていた」という女性は「田中真紀子さんは悪くないって、筆坂さんは追及したでしょ。ほんとにいいことです。正しいことは正しいと追及してください」と電話してきました。
京都市の女性も「田中さんの首をきったのは納得がいかない」。「小泉さんの答弁にはムカムカする。ごまかしてる。昨年の夏、小泉さんが京都にきたとき母を連れて見に行ったほどファンだったけど、もうアカン」
「北海道出身」という大阪府の女性(50)は、「小泉首相ののらりくらりとした返答に腹が立つ。だれが見たって鈴木宗男衆院議運委員長が悪いし、田中真紀子外相が正しいと分かっているのに、小泉首相は臭いものにふたをした。『構造改革』といいながら、元の自民党のやり方とどこが違うのか。『赤旗』は、徹底的に化けの皮をはがしてほしい」と日本共産党への期待を語ります。
「筆坂さんの追及は痛快」とファクスを送ってきたのは東京都の女性(62)。「小泉首相のしたたかさを見せられて、これからは小泉の答弁をよく聞いて、それを論破する共産党の話を周囲にしなければ」
若い女性は、「国会中継をみていて小泉さんの答弁に腹が立って仕方ないので電話した」といい、「友人たちとも話し合ったのですが、NGOの大西さんを国会に参考人として招いて証言してもらったら真相ははっきりするでしょう」と提案します。
東京・北区の党員(男性)は「国会で頑張ってもらうと、しんぶん『赤旗』を増やす力になります」と力を込めました。
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