日本共産党

2002年1月31日(木)「しんぶん赤旗」

公共事業のおおもと五全総とは?


 〈問い〉 政府が進めているゼネコン型公共事業のおおもととされる五全総とはどういうものですか。(宮城・一読者)

 〈答え〉 「五全総」とは一九九八年三月、当時の橋本内閣が閣議決定した「新・全国総合開発計画」のことです。六二年決定の「全国総合開発計画」から五回目の計画なので、「五全総」と通称されています。〇一年を起点とし、一〇年から一五年までが目標年次です。

 全国総合開発計画は、国土総合開発法にもとづく計画で、国土審議会の調査審議を経て内閣総理大臣が作成します。これが都道府県などの総合開発計画の基本となり、現行法上、国土計画の頂点に立つものです。

 五全総は、東京と太平洋ベルト地帯の「一極一軸集中」への対応として「多軸型の国土構造の形成」を看板にしています。

 しかし、東京湾口道路など新たな六つの巨大橋建設を「複数の国土軸を連結する役割も総合交通体系には必要」(九八年四月十五日、橋本首相)と説明したように、「多軸型」といっても大規模公共事業の理由づけにすぎません。

 また採算の見通しもない空港建設計画の乱立や、「巨大な釣り堀」といわれる大水深バース建設などが続くのも、五全総の「東アジア一日圏」など国際交通体系整備の構想がもとです。

 さらに、進出企業がほとんどなく破たんしている「むつ小川原開発」(青森)や「苫小牧東部開発」(北海道)も推進し、建設費が二十兆円を超える「首都機能移転計画」も「積極的な対応を図ることが必要」として推進勢力を後押ししています。

 小泉内閣は一月二十五日、閣議決定「構造改革と経済財政の中期展望」で、五全総を「抜本的にその在り方について見直しを行う」としました。開発計画の破たんの反映ですが、小泉首相自身「首都機能移転」推進論者であるなど五全総とのかかわりもあり、「見直し」の実像を見きわめる必要があります。(博)〔2002・1・31(木)〕

 


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