2002年1月27日(日)「しんぶん赤旗」
開会まで四カ月に迫った日韓共催サッカー・ワールドカップで使用されるボールの多くが、違法な児童労働によってつくられていることが問題になっています。国際的な非政府組織(NGO)「反児童労働グローバルマーチ」と国際労働機関(ILO)が児童労働でつくられたボールの不使用と、調査の徹底を呼びかけています。(ニューデリーで竹下岳)
国際試合で使用されるサッカーボールの多くがインドとパキスタンで生産されています。この生産のために、数万人の子どもが最低賃金を下回る労賃で、労働基準を超える就労を強いられています。子どもたちはいずれも、教育の機会を奪われています。
「覚えていないくらい前からずっとボールを縫いつづけている」。十歳ぐらいの少女、ギータちゃんは証言します。
インド北部パンジャブ州の農村地帯ジャランダール県では今年のワールドカップの公式ボールが生産されていますが、インド国内の労組の調査では、同州だけで一万人以上の子どもたちがサッカーボール生産に携わっていました。
ギータちゃんの手は皮がむけてかさかさです。「手がいつも焼けるように痛い」と訴えます。
児童労働の存在はすでに以前から問題視されており、一九九八年には国際サッカー連盟(FIFA)が児童労働でつくられたボールの使用禁止などを定めた規則を決定。
しかし、ギータちゃんは「児童労働不使用」と書かれたワッペンを、その手でボールに縫いつけていました。
パキスタンでは労働組合とメーカーの協力で徹底した調査活動をおこない、児童労働の削減に成功しました。しかし全パキスタン労働連盟によると、多くの労働者の賃金が安いため、家計を助けるために子どもが労働に駆り出されています。
「グローバルマーチ」は児童労働でつくられたボールの不使用と同時に、FIFAと契約しているメーカーに対して基準どおりの賃金を労働者に支払うことを呼びかけています。
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