2002年1月16日(水)「しんぶん赤旗」
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| 逮捕された尾崎光郎容疑者の事務所「業際都市開発研究所」(東京・千代田区) |
加藤紘一元自民党幹事長の事務所代表、佐藤三郎秘書(61)にも、鹿野道彦民主党副代表の元秘書、尾崎光郎容疑者(56)=十五日、東京地検特捜部が逮捕=にも、口きき料として現金を渡した――。本紙は十五日までに、山形県の建設業関係者から公共工事をめぐる利権で、政界関係者が資金集めをしている実態の証言を得ました。口ききは、それぞれ官庁とつながる佐藤、尾崎両者が利権をわける形でおこなわれており、公共工事を食い物にする利権構図がうきぼりになっています。証言を紹介します。(山形県 阿曽隆記者)
尾崎元秘書とは一九九六年ごろから、仕事上の付き合いが始まりました。
そのころ、山形県発注工事をどうしてもとりたくて、上京した際、尾崎さんが設立した業際都市開発研究所に電話して尾崎さんと会いました。
工事の概要を説明すると、「分かった。四本(一本百万円)ばかり用意してくれ」といわれました。
このときは、手付金で百万円、実際に受注できたときに百万円、工事が終わった後で協力金として二百万円を支払いました。
料亭で一席もうけて最後のお金を払いにいったとき、現金を差し出すと、尾崎さんは大相撲の力士がするように手刀を切って「いただきます」とおうように懐にいれました。
数百万円のお金がポンと手に入るなんて、代議士元秘書ってなんていい仕事だろうと、正直思いましたね。
それからは、どうしても食い込みたい仕事などがあるときに、尾崎さんに頼みました。
大きな仕事などは尾崎さんにお金を積まないと私らなど指名にも入れません。その代わり、彼にお金さえ払えば百パーセント仕事がとれました。これはすごいことですよ。
お金の支払いは、東京に持っていくことが多かったです。現金の手渡しが鉄則で、振り込みも絶対ありません。尾崎さんが山形に来て、ハイヤーで会社をまわって集金することもあって、そんなときは一週間くらい滞在したようです。まるで集金旅行です。
尾崎さんの人脈と力はすごいものです。例えば道路公団の所長にあいさつにいけば「尾崎先生から聞いているから、今回は指名に入れるよ」という具合です。指名に入れるだけでもありがたいものです。
自民党の加藤紘一代議士の佐藤三郎秘書にも工事の口ききをしてもらい、お金を渡したことがあります。
山形県では、尾崎さんと佐藤さんで、選挙区の関係などでおおまかな「線引き」のようなものがあるんです。
九八年の参議院議員選挙のころでした。仙台市のあるゴルフ場でコンペを開くから参加するようにと、加藤事務所からファクスがきました。そこには「参加費として百万円持参するように」とあり、「文書は見たらやぶり捨てるように」と電話で指示がありました。
山形県内の建設、設備業者など約十社が参加し、コンペ終了後の懇親会に、佐藤秘書が現れ、各社持参の百万円をまとめて持っていきました。
その後、佐藤秘書に約六千万円の仕事を口利きしてもらい、百五十万円の謝礼を現金書留で加藤事務所に送ったことがあります。
新聞で騒がれるような事態になって、ドキリとしました。でもこの業界は普通にやっていたら仕事はとれません。
だって役所も政治家もみんなつるんでいて、シナリオが最初からできているんですから。
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