日本共産党

2002年1月15日(火)「しんぶん赤旗」

国交省天下り財団

ダムの環境調査 ゼネコン丸抱え

金も 設立時財産の8割

人も 職員70人中の50人


 全国のダム建設にかかわる環境調査の大半を受注している国土交通省所管の財団法人が、ダム工事を受注する側のゼネコンなどから金も人も提供され、“丸抱え”状態にあることが本紙の調べでわかりました。同財団は、熊本県の川辺川ダムでも環境調査をして、日本自然保護協会にそのずさんさを厳しく批判されており、環境調査の信頼性が根本から問われています。

 問題の財団法人は、ダム水源地環境整備センター(東京・千代田区)。

 理事長は加藤昭・元北海道開発事務次官。他の理事には、国交省OBのほか、日本ダム協会会長でゼネコン大手の鹿島建設社長や海洋土木の東亜建設工業会長、日本建設コンサルタント会長などが就任しています。

 本紙の調べによると、この財団設立時(八七年)の基本財産約十億円のうち、八億円近くはダム建設でうるおうゼネコンやメーカー、コンサルタント会社が寄付していました。さらに財団職員約七十人のうち、財団独自の職員はわずか三人だけ。約五十人がゼネコンやコンサルタント会社からの出向者でした。

 出向者の給料は、「一年目は出向元の企業、二年目以降は財団も半分を負担する」(財団)といい、数年で企業にもどるシステム。実際、本紙が入手した財団職員OB名簿には、現在の職業としてゼネコンやコンサルタント会社の名前がズラリと並んでいました。

 ダム建設を推進する国交省や水資源開発公団も出向者を財団に出し、企業・官庁の人物が「財団法人」の看板で仕事をしているという構図です。

 財団に出向していたある企業の社員は、「もともと財団は、ダム建設がうまく進むように旧建設省がゼネコンに人と金を出させてつくらせた。環境調査のための委員会の人選や調査の中身については役所の担当者とあらかじめ打ち合わせしたうえでやっていた。建設に影響するような調査結果が出るはずがない」と証言します。

 財団は国交省や水資源開発公団から二〇〇〇年度にダム環境調査などで百四十九件、四十四億五千万円(契約額)を随意契約などで委託されており、全国のダム環境調査の大半を受注しています。

 


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