日本共産党

2002年1月11日(金)「しんぶん赤旗」

小泉首相のもと この巨大浪費は続く

関西空港二期工事 3空港「上下分離」のカラクリ


 需要見通しがないのに、一兆数千億円もの巨費を投じて二本目の滑走路を二〇〇七年に使用開始しようとする関西国際空港二期工事。小泉内閣は今年度も三百二十一億円の予算をつけて推進する構えです。その無駄遣いを継続する仕組みが、政府の特殊法人「整理合理化計画」に盛り込まれた三国際空港の統合・「上下分離方式」です。(山沢猛記者)

負担はやっぱり国民に

 「世界の窓口となる関西国際空港の二期事業を一層支持する」。関西経済連合会の秋山喜久会長は元日の年頭所感でこうのべました。太田房江・大阪府知事も「航空行政の見直しが本格化する。関空はやるべきことを先取りしてやれるようにする」と四日の年頭会見で表明しました。

 小泉内閣が、昨年暮れの特殊法人見直しで自民党内にもあった反発の声を抑えて関空二期工事推進の方針を決め、政府予算案にも関連支出が入ったことに、推進派は一様に安どした様子です。

 整理合理化計画には「国際ハブ(乗り継ぎ)三空港の経営形態のあり方は、上下分離方式を含め二〇〇二年中に結論を得る」という文言が最終盤に押し込まれました。

 この「上下分離方式」とは、新東京国際空港(成田)、関西国際空港、建設中の中部国際空港を統合して、土地造成による借金の償還や滑走路の建設などは新しくつくる公的法人(下物法人)がおこなう、一方、空港施設の管理・運営や、着陸料の設定は空港ごとに設立する民間会社(上物法人)があたるという仕組みです。

 国土交通省航空局の担当者は「長期の債務は下物法人が引き受けることになる」といいます。

 いま成田空港は、航空会社からの利用申し込みにこたえられないほど需要が多く、経営は黒字です。一方、関西空港株式会社は現空港でさえ一兆一千億円の債務をかかえ、需要がのびず、毎年、赤字経営から抜け出していません。そのうえ過大な需要を見込んで、一兆四千二百億円かけて二つ目の空港島をつくる二期工事を継続しているのです。

 成田も関空も基盤整備部門を下物法人に統合すると、一つの勘定になり、成田の黒字分を、関空の二期工事や、債務処理に回すことができるというものです。関空の経営がいっそう不透明になります。「上下分離方式」は、関空を救済し、二期工事をつづけるための仕組みです。

 そのうえ、公的法人なので、下物法人でも背負い切れないほど関空の累積債務がふくらむことになれば、国や自治体がいま以上の税金を投入しなければならず、国民負担が将来にわたり拡大することになります。

 この「上下分離方式」のもとになっているのは、昨年九月に出された国土交通省の「試案」です。

 試案で、下物法人は「整備・保全法人」で、「大規模投資、長期の資金回収を要するため、国が主体的に推進する」、そのため「公的法人」にするとしています。

 上物法人は、それぞれの空港ごとの使用料の設定もして、滑走路などの利用料を下物法人に払うことになります。建設費の有利子債務からは解放され、「身軽になって民営化できる」(航空局担当者)ことになります。

香港の2倍 バンコクの5倍 使用料下がらず

 三空港の「上下分離方式」のもたらすもう一つの問題は、各国と比べて異常に高い日本の空港使用料が下げられなくなることです。日本に定期便を就航させている外国の航空会社四十数社が所属する在日外国航空会社協議会(FAAJ)は、関空二期事業の中止と、日本の空港使用料の大幅引き下げをたびたび求めてきました。

 アジア各国と日本の空港使用料を比較すると、成田、関空は一万二千ドル前後で、バンコク約二千二百ドルの五倍以上、香港約五千八百ドルの二倍です(二〇〇〇年現在)。FAAJは「成田、羽田、関空は六千ドル程度に下げるべきだ」と要求しています。

 成田、関空の基盤整備部門が一つになると成田の黒字分の多くがそこに回され、その分、空港利用料の引き下げがむずかしくなります。アジアの空港との競争の激しいなか、「国際ハブ空港」をめざすという標語も、これでは色あせてしまいます。

閣僚先頭にねじこむ

 昨年末に政府予算案が決まる前、塩川正十郎財務相(衆院大阪十三区)は、予算編成の責任者であるにもかかわらず、扇千景国土交通相(神戸出身)に、関空二期工事の「埋め立て工事」の継続を「要請」。扇氏は「『上下分離方式を軸に』と入れてくれないと困る」と石原伸晃行革相らにねじ込みました。保守党の二階俊博幹事長(衆院和歌山三区)、公明党の冬柴鉄三幹事長(同兵庫八区)が「上下分離」を政府に執ように求めました。

 大阪日日新聞四日付の政党座談会では、「〇七年の第二滑走路使用開始はぜひとも実現させたい」(自民党)と、日本共産党以外の自民、公明、保守、民主各党の地元選出国会議員は口をそろえました。

 「財政構造改革」を掲げながら、無駄づかいの従来型公共事業は執念をもって継続する――。小泉「改革」そのものが問われています。

 


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