日本共産党

参議院法務委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)

1997年6月5日

※拉致問題に関係する部分の抜粋を紹介します。


(前略)

◆橋本敦君 いわゆる日本人拉致事件の問題でありますが、私はもう十年も前にこの問題について予算委員会で質問をさせていただきました。当時の国家公安委員長、今の梶山官房長官は、昭和五十三年以来一連のアベック行方不明事件、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚でございます、解明が大変困難ではあっても、事態の重大性にかんがみて、今後とも真相究明に全力を尽くしますとおっしゃっていただきました。当時の宇野外務大臣もその予算委員会、六十三年三月二十六日ですが、ただいま国家公安委員長が申されたような気持ち、全く同じでございます、この近代国家、我々の主権が侵されておったという問題は先ほど申し上げましたけれども、今平和な世界において全くもって許しがたい人道上の問題がかりそめにも行われているということに対しましては強い怒りを覚えておりますと、こうおっしゃいました。

 自来、長い年月がたちました。との問題について家族の人たちは、拉致された子供たちのことも気にしながら、声を上げずに辛抱してまいりました。しかし、今日になってもその音さたが、政府の責任で解明されるという方向に進まない、そういう気持ちの中で苦慮しておられましたが、たまたまその中で、御存じのように横田めぐみさんの事件が新たに問題になって、これが明らかになってまいりました。そこで、北朝鮮に拉致された人々の家族が三月二十五日に家族会を結成されまして、新聞、テレビでも大きく報道されたところであります。

 この横田めぐみさんの情報が入りまして、いち早くお父さんに御連絡したのは私の部屋からでございましたけれども、「文芸春秋」でお父さんはそのときのことをおっしゃって、娘が姿を消して二十年、「初めて耳にした娘の消息に、私の身体はショックと驚きで震えました。」と、「議員会館のある永田町に向かう途中、次第に「娘は生きていた」という喜びが湧き上がってきました。」、そして、「一刻も早くめぐみを救出できるなら自分の命さえ惜しいとは思いません。代われるものなら代わってやりたいと思うのは、子を持つ親なら誰でも同じではないでしょうか。」と、こうおっしゃっていますが、まさに家族の皆さんはそうだと思います。

 この問題で、私は、重要な人権問題でありますから、ぜひ一刻も早い解決を望んでおるんですが、警察庁に伺います。これまで北朝鮮の拉致と見られる、認定された事件の件数と人数はどうなっておりますか。

◆説明員(米村敏朗君) お答えいたします。

 私どもの方でこれまで北朝鮮による拉致の疑いのある事件と判断しておりますのは七件、十人でございます。なお、これ以外に未遂であったと思われるものが一件、二人であると判断しております。

◆橋本敦君 それ以外にもいろいろ疑惑のある事件があるんだというような情報は接しておられますか。

◆説明員(米村敏朗君) お答えいたします。

 警察といたしましては、ただいま申し上げました七件以外にも北朝鮮による拉致の可能性があるとして重大な関心を有している幾つかのケースについて、引き続き関連情報の収集等に努めているところであります。

◆橋本敦君 私は、この問題については、まさに日本の国家主権の侵害にかかわるという問題であるし、国民の人権にかかわる問題ですから、これから北朝鮮との国交の関係という難しい壁をどう乗り越えて、どう早くこの人たちに救済の手を差し伸べるか、政府としても本当に大事な問題だと思っておるわけであります。

 この問題について私はお願いがあるんですが、この家族会の皆さんだけの力でできることではありません。政府として全力を挙げて全面的に協力をする体制を一日も早くつくってやっていただきたいということがお願いでございます。

 外務省は外務省として努力をなさっておると思いますが、外務省として現在、この事件の解決に向けてのめどというのはどうなんでしょうか。

◆説明員(別所浩郎君) お答えします。

 先生御指摘の北朝鮮による拉致の疑いが持たれている事件につきましては、もちろん捜査当局によって所要の捜査が進められているものと承知しております。そういった面につきましては、もちろん外務省としても関係機関と連携しながら情報の収集などやっておるわけでございますが、それと別にまた、今後ともこの問題の解決のためにどういつだ方法が効果的か、真剣に考えながら努力してまいりたいと思っております。

 いずれにせよ、先生も御指摘のとおり、この件は我が国の国民の安全にかかわる重要な問題でございます。そういう認識に立ちまして、関係省庁等とより一層緊密に連絡をとりながら真剣に対処してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。

◆橋本敦君 北朝鮮側は拉致ということは一切認めないという立場をとっていることは、外交交渉その他で言われているとおりです。私どもは北朝鮮政府の態度については厳しい批判的態度を持っておりますが、それは別として、この問題を人道的な立場で各党派を挙げ、政府を挙げて一日も早く救援してあげていただきたいという気持ちは共通でございます。

 昨日も池田外務大臣は外務委員会で、省庁間の連携を密にしていかないといけないので、各省の協議を密にして早急に相談を進めていきたいと答弁なさったことが報道されました。

 私は、このことは本当に大事なことだと思うんです。今も、警察庁はこれからも必要な捜査、検討を続けていくというお話、外務省も努力をしていくというお話がございました。内閣官房にもお越しいただいて御意見を伺いたいんですが、それぞれの省庁の横の連携も深め、政府の対応として、この問題については必要な情報連絡会議あるいは関係閣僚会議、そのもとで必要な対策室を設けるなど、そういった体制をつくっていただくことが大事かと思いますが、いかがでしょうか。

◆説明員(門司健次郎君) 本件につきましての関係省庁の対応につきましては先ほど御答弁ありましたけれども、内閣官房といたしましても、今後とも本件については関係省庁間の一層緊密な連携を図り、あるいは連絡をとり、いかなる対応が最も効果的かという観点から検討してまいりたいと思っております。

◆橋本敦君 そこで、この問題で最後に法務大臣にお願いしたいんですが、池田外務大臣も御答弁がありましたが、各関係省庁の連絡ということになりますと、人権を預かる法務大臣も大事なその中のお一人でございます。法務大臣として、警察庁あるいは外務大臣、あるいは国家公安委員長、あるいは官房長官等とこの問題について御協議をぜひ進めていただきまして、適切な対策なり方法なりを見出していただきますように、連絡体制の強化、対策本部でも結構でございますが、一段の努力をぜひ法務大臣に私はお願いして、この件の質問は終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。

◆国務大臣(松浦功君) 委員御指摘のとおり、大変重要な問題でございます。関係機関と十分に連絡をとって、いかなる方法が最も効果的であるかということについて前向きに検討を進めていく必要があるんではないかと思っております。最大限の努力をお約束申し上げます。

◆橋本敦君 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

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