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2019年2月9日(土)

追及 アパート商法の闇

「違法建築」改修 レオパレス 7782人に退去要請

オーナー怒りと不安

 大手サブリースのレオパレス21(東京都中野区)が開発・販売したアパートで新たに1324棟で建築基準法違反の疑いが発覚した問題で8日、同社は3月末までに退去するよう入居者に要請を始めました。違法建築の疑いが見つかった物件には、計1万4443人が入居しており、アパートの所有者は同社の対応に不安と怒りをつのらせています。(原千拓)


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(写真)レオパレス21の本社ビル=東京都中野区

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(写真)レオパレス21が1996年に建設し、屋根裏の界壁の施工に建築基準法違反の疑いが見つかった三重県桑名市のアパート

3月末までに

 同社が退去を求めているのは、早急に改修が必要な天井工事を伴う641棟の7782人です。入居者の転居費用について、レオパレスの物件以外に引っ越す場合は、原則として敷金や礼金などは支払わないと発表したものの、その後「払う」と訂正しました。

下請けに責任転嫁

 新たな施工不良が見つかったのは1996~2001年に着工した33都府県の1324棟の物件。天井の耐火性能が国の基準を満たしておらず、外壁や屋根裏などに設置する延焼や音もれを防ぐ壁(界壁)に使われる素材が建築基準法の規定とは異なるものが使用されていたなど同法違反の疑いがあります。

 会見で深山英世社長は「当時の順法性に対する意識と施工管理のぜい弱さがこういう結果になった」と説明。同社対策本部責任者の平坂弘幸氏は「基本的に協力業者が施工して社員が確認検査をするが、社員のレベルがまちまちだった」と述べました。

 同社のアパートで違法建築の疑いが見つかった問題は、昨年5月にアパート所有者らの指摘で発覚。アパート所有者らでつくる「LPオーナー会」の前田和彦代表は「監督責任を下請け業者に押し付けているような印象だ。建築技術の知識のなさと施工技術のおろそかさの実態が浮き彫りになった。住人やオーナーへの全額補償は当然だ。行政の完了検査もまったく機能していないことも問題。行政のチェック機能が根本的に変わらないと問題は解決しない」と指摘します。

 オーナーで横浜市の石塚一雄さんは「周囲のオーナーたちは借金を抱えながら建てたので今後どのようになるのか心配している。入居者の方々も危険な住居に住んでいることで不安に感じていると思う。引っ越しシーズンを迎える中で大変だし、家賃保証もどこまでしてくれるのかわからない。自治体も腰が重く国土交通省からの指導がなされていないように感じる」と訴えました。

宮本岳志議員が追及

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は、これまでLPオーナー会とともに国交省から聞き取りや要請を行ってきました。昨年の国会では同社の違法建築について、国交省に全容解明を求めており、石井啓一国交相から、「建築基準法違反であることの特定や、違反建築物の是正について、必要な安全性の確保にむけ迅速に対応する」(18年6月)との答弁を引き出しました。


 サブリース契約 大手不動産会社などが、賃貸住宅を土地所有であるオーナーに建てさせたうえ、一括して借り上げ、長期にわたって家賃収入を保証することをうたった賃貸借契約。サブリース契約をめぐっては、「30年家賃保証」と勧誘し、オーナーに多額の建設費を負わせる一方、契約して数年で家賃払いを減額・停止するなどのトラブルが多発。レオパレス21に対しては、オーナーたちが損害賠償などを求めて提訴しています。


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