2018年11月27日(火)
入管法改定案 強行許されぬ
人権侵害放置 まともな審議もせず
日本共産党の藤野保史議員、辰巳孝太郎議員は26日、衆参両院の予算委員会で、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案について、新設される在留資格の人材の大半を外国人技能実習生や外国人留学生からの移行でまかなおうとしていることを指摘。現行制度のもとで横行する実習生、留学生の深刻な人権侵害を放置したまま、まともな審議もせずに法案を押し通すことなど絶対に許されないと批判しました。
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大半は実習生から移行
藤野氏が追及
安倍晋三首相は、現行の技能実習制度と新設される在留資格「特定技能」について、「趣旨、目的を異にする」として、関連性を否定しています。
藤野氏は、法務省の提出資料をもとに、新在留資格「特定技能」で受け入れる外国人労働者のうち技能実習生からの移行を見込んでいる割合をパネル(表)で示して指摘。「技能実習生がいなければ新制度が成り立たない。これが実態ではないか」と迫りました。
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藤野氏は、安倍首相は“9割の実習生はうまくいっている”という答弁をしているが、「技能実習制度では、最賃以下の賃金や暴力など法令違反や人権侵害が横行しており、その認識は誤りではないか」と追及しました。
安倍首相はこの質問にはまともに答えず、「2017年に技能実習法が施行され、悪質なブローカー対策として2国間取り決めによる送り出し機関の適正化に努めている」などと答えました。
藤野氏は、同法施行後も技能実習生の失踪が昨年を上回るペースで増加していることを示すとともに、安倍首相が所信表明演説で触れたベトナムと、日本が結んだ「覚書」では、ベトナムの実習生が送り出し機関に支払う額の上限は40万円とされているのに、失踪した技能実習生からの「聴取票」では、86%が40万円以上の借金をしているとして、「いまやるべきことは、外国人労働者の実態を踏まえて徹底的な審議を行うことだ」と強調しました。
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「企業の使い勝手」本音
辰巳氏が告発
辰巳氏は、外国人留学生について、学業に支障がないようにアルバイトを週28時間に制限されているにもかかわらず、「使い勝手の良い労働力」として酷使されている実態を告発しました。
辰巳氏は、「留学生は多額の借金を抱えて来日する点で、技能実習生と重なる」と指摘。日本語学校の学費や留学あっせん業者への支払いで150万円前後の借金を抱える一方、「週28時間のアルバイトでは生活費や借金返済、次年度の学費をまかなえないため制限を超えて働き、最低賃金に張り付き、パワハラが横行する劣悪な条件でもダブル・トリプルワークで働かざるを得ない」と述べました。
さらに、株式会社立の日本語学校が乱立し、学校が人材派遣会社を兼ねて自校の留学生を週28時間以上働かせる事例もあり、「留学生には技能実習生のような職種の制限がなく、企業にとって『使い勝手』が良い」と強調。「現地ブローカーや一部の日本語学校、専門学校が関与して人材ビジネスを繰り広げ、留学生を搾取している」と述べ、実態調査を求めました。
辰巳氏は、2017年に自民党「一億総活躍推進本部」のプロジェクトチームが、留学生を「労働力として活用することで、労働力不足を補う」「労働時間制限を緩和すべき」と提言しているとして、「留学生を『使い勝手の良い、安い労働力』として企業に供給する構図を整えるのが本音だ」と指摘。外食業では新制度で初年度に受け入れる4000~5000人のうち、3000人は留学生からの移行を見込んでいると迫りました。吉川貴盛農水相は、人数を明言しなかったものの、留学生も含まれることを認めました。
辰巳氏は、「留学生の実態把握すらせず、新制度につぎ込むなど論外だ」と批判しました。