2008年8月30日(土)「しんぶん赤旗」

学力テスト

都道府県の格差固定

結果公表 実施に強い批判・疑問


 文部科学省は二十九日、今年四月に実施した全国一斉学力テスト(学力・学習状況調査)の結果を発表しました。正答率の高い県と低い県が固定化し、その差の大きさも目立っています。テスト実施による競争激化への批判や、毎年全員を対象に実施することへの疑問が出ています。

 全国学力テストは昨年、文科省が四十三年ぶりに復活させました。国語と算数・数学の二教科で実施。小学六年生約百十六万人、中学三年生約百八万人が受けました。公立では昨年に続き愛知県犬山市が不参加。私立学校の参加は昨年、六割でしたが、今年は五割にとどまりました。

 都道府県別正答率をみると、昨年トップだった県が今年もほとんどの科目で一位、昨年最下位の県は今年も最下位になるなど、前回と同じ傾向。

 全国平均の正答率では、基礎的知識を問うA問題、「活用する力」を問うB問題ともに昨年より大幅に低下しました。解答時間が足りなかったとした子どもが、小学校の国語Aで43・6%(昨年12・6%)になるなど軒並み増加しました。

 文科省は「これまでの調査で課題の見られた内容について突っ込んで出題したため、前年度よりやや難しい内容となった。学力が低下したとはいえない」と説明。難易度が上がったことで昨年と正答率を比較する意味がなくなり、「毎年やる必要があるのか」との声も出ています。

 同省は「都道府県間のばらつきは小さい」としていますが、正答率の最も低い県と高い県との差が中学校の数学Aで22・5ポイントに達するなど格差の広がりがうかがえます。


 全国一斉学力テスト 二〇〇四年に中山成彬文科相(当時)が「競争意識の涵養(かんよう)」のためとして導入を提唱し〇七年度から実施。毎年四月に行うことになっており、今年度の予算は六十二億円。競争を激化し教育をゆがめると反対が広がっています。テストと同時に子どもに家庭環境などを質問することにも批判があります。今年三月、佐藤学、小森陽一両東京大学教授、堀尾輝久東京大学名誉教授らが「全国学力テストの中止を求めるアピール」を発表。賛同者はテスト実施までに二千人を超えました。


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