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林萬太郎さん(大阪府立高等学校教職員組合副委員長)

偽装請負の行政調査にごまかしをさせられた――二重の犯罪行為は告発しよう

 みなさんのメールを読ませてもらいました。「毎日、定時に帰れたことがない。夜勤の休憩時間がない。年間休日が96日しかない」「アルバイトの残業代が一部しか支払われていない」「就活中だが、正社員募集はほとんどが有資格・経験者限定で、未経験者には非正規雇用しかない」「職安の端末でフルタイム勤務の検索をしても、半分以上が派遣の求人」など、若者の雇用と労働の厳しい実態を告発する生の声が寄せられています。さらに、「家庭の事情で中学卒業後または高校在学中から働いている人がずっと厳しい環境に置かれ、復活のチャンスがほとんどない」「7年の派遣生活で10社以上。小泉改革の餌食になり本当に辛かった。どれだけの涙を流し、苦しんだか」など悩み苦しむ声も寄せられており、当面の利益のために若者と日本の将来を食いつぶしている大企業・財界と自公政権に、強い憤りを感じます。

 今回は、偽装請負の調査に対するごまかしをさせられたという声が2件寄せられています。このことは、われわれの運動によって偽装請負への指導が強化されていることの反映でしょうが、査察官が少ないことを悪用して2重に犯罪行為を重ねるもので許されないことです。状況によっては、労働基準監督署へ告発しましょう。匿名での通報もできます。また、「2カ月間のアルバイトから、いきなり転勤のうえ、すぐ中間管理職に。平均睡眠時間4〜5時間で、食べ物ものどを通らない。毎日、今日こそ辞めようと思っている」という相談の方、このままでは倒れてしまいます。すぐに、近くの共産党事務所か全労連の労働相談ホットライン(0120-378-060)に相談しましょう。

 「最近、私を含めみんなの生活が壊れていく感じがします」という声がありました。同感です。このままの状態が続けば、若者はじめ国民は疲弊し、日本はぼろぼろになります。そうなれば、大企業は日本を見捨ててさっさと本社をアメリカにでも移して、知らん顔をするのでしょう。しかし、この1〜2年、声を挙げる若者が増え、労働組合に入って交渉したり裁判でたたかう若者も増えてきています。若者が声を挙げ、学習して知恵をつけ、仲間を見つけてたたかうことは、日本の将来を明るくすることなのです。「財界の政治介入を厳しく制限」し、派遣労働者ははじめは13業種にのみ認められてきましたが、その後どこの職場にも原則自由化するという法改悪がさせられてきました。「派遣法を元に戻すこと」を要求する運動を強めていきましょう。 

プロフィール

はやし・まんたろう

大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長

1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。

「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。

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