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中田進さん(関西勤労者教育協会講師)

「辞めさせてくれない」「休憩が取れない」…一歩の勇気をだして相談しよう

写真 みなさんのメール読ませていただき、「違法列島」と呼びたくなるほど、全国に働くルールを踏みにじる異常な事態がひろがっていることがわかりました。

民間経営のグループホームに勤務する27歳の男性の声は深刻ですね。前のホーム長とは正反対の、非人間的な扱いをする新しいホーム長への怒りの気持ちはよくわかります。親しい人がどんどん辞めていくなか、退職願を出したのに「お前にはいっぱい教えなきゃならないことがある」といって聞き入れてくれない。そのために薬に依存し、リストカットを何度も、と。これは危険な事態です。企業に一人の人間を束縛する権利はありません。ホーム長ではなく経営責任者に、退職願を出しすぐに辞めることをお勧めします。退職が聞き入れられず過労死した若い女性の裁判を支援しました。裁判に勝利しましたが、ご両親は退職させたることができなかったことを悔やんでおられます。就業規則に退職金の制度があるか確かめ、あれば請求しすぐにでも辞めてください。政府の福祉予算削減のため福祉労働者の条件が劣悪になり、定着率がわるくなるなかホーム長の責任が大きく問われ、辞めさせてくれないかもしれませんが。頑張ってください。

ソフトウエアに就職した23歳の男性、就職後も面接時のトラウマ、つらいですね。働きはじめて2ヶ月、いまは毎日仕事にいってますか。仕事になれて、面接時の不快感がうすらいでいくようでしたら、とにかく働きつづけてみましょう。

企業が学生を離さないように内定承諾書を書かせ、期限は短くするのが普通です。しかし法的拘束力はありません。承諾書を書いても内定辞退ができます。入社2週間前なら内定辞退ができ、それを過ぎると賠償金などの話も。

あなたの場合は、すでに就職していますので、どうしてもいやなら内定辞退ではなく退職になりますね。
 30歳女性からも労働時間のことで訴えがありました。 労働基準法によると、雇い主は8時間を超える残業には25%割増、深夜10時を超えると50%割増の手当てを支払う義務があり、休憩も有給休暇も与える義務があります。休憩とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていない状態をいいます。労基法においても以下の様に定めています。 1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上。1日の労働時間が8時間を超える場合は1時間以上となっています。あなたの会社は違反です。

 勇気をもって行動をおこしましょう。労働基準監督署に通告することも方法です。0120-378-060の労働相談もおすすめです。いろいろな準備もアドバイスしてくれます。


プロフィール

なかた・すすむ

1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。

主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)

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