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笠井 亮(日本共産党衆議院議員)

写真 “コンビニ”の数ほど労働組合を!

  今回は23人の方からのメールを読まさて戴きました。どのメールも、本当にひどい実態を告発していて、文面だけでなく、行間からも怒りの叫び声が聞こえてきそうな気持ちになりました。

 [16]番さんのメール、余りにも深刻な内容で胸を塞がれる気持ちになりましたが、最後で、昨年10月13日の参院予算委での市田書記局長の質問に感激されたとの記述にホッとしました。日本共産党は、国会でも職場でもたたかい続けます。ともに手を携えてたたかっていこうではありませんか。

 嘆いているだけでは現状は変わりません。行動して立ち上がれば必ず現状を変えていけます。「偽装請負」のもとで苦しめられていた青年労働者が、労働組合に入って会社と交渉し、つぎつぎと正社員化を実現しています。『やればできる』のです。

そのわけと力は、実は日本国憲法にあります。今年の5月3日、日本国憲法は60歳の「還暦」を迎えます。中学や高校の社会科の授業で、「主権在民」「恒久平和主義」「基本的人権」など、憲法の大切な内容を聞かされたことは記憶していることと思います。ところで、憲法は日本の労働者に2つの特別の条文を設けていることはご存じでしょうか。それは憲法第27条と28条です。

 第27条は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。賃金・就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。(略)」と規定し、国民の労働権を保障し、人間らしい最低の労働条件を法律(労働基準法)で定めています。

 第28条では「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と高らかに宣言し、労働者に「団結権」(労働組合をつくること、労働組合に入ること)、「団交権」、「団体行動権」(争議権)という労働三権を保障しています。

 この28条を受けて、労働組合法は、労働者が労働組合を自主的に結成し加入し、運営することにに対し使用者が支配介入を行うこと、団体交渉を拒否することや組合活動を理由とした差別待遇などを行うことを「不当労働行為」として禁止しています(第7条)。そして、「労働三権」を守るために裁判所とは別の行政機関である労働委員会を設けて救済を行っています。この労働組合法では、労働組合が行うストライキやボイコットなどの「正当な争議行為」に対して刑事責任を追及されることはなく(第1条2項)、民事損害賠償を要求されることもありません(第8条)。

 このように憲法が定めている労働三権に確信を持ち、労働組合法が規定している労働者・労働組合の権利を活用して、低賃金と無権利状態、理由のない「短期間」雇用などの是正を要求していこうではありませんか。労働組合は誰でもつくれますし、また加入することもできます。『コンビニの数ほど労働組合を!』、これが現実を変えていく確かな保障だと思います。


プロフィール

かさい・あきら

 2001年まで参議院議員を勤め、05年の総選挙で東京比例ブロックから衆議院に選出され、国会では、厚生労働委員会、憲法調査特別委員会などに所属。参議院時代より、小泉首相まで歴代4人の総理を相手に論戦を繰り広げ、テレビでもしばしば実況中継された。日本共産党中央委員・国際局次長として野党外交の現場に臨んで奮闘。「非核の政府を求める会」常任世話人など。

 1952年、大阪生まれ、東大経済学部を卒業後、同農学部でも学ぶ。青年学生運動以来、国際活動で30数カ国を訪問。家族は妻と母。母親は広島で被爆している。趣味 料理、ウォーキング。

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