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中田進さん(関西勤労者教育協会講師)

「自分が駄目」などゆめゆめ思ってはいけません

写真 今回も不法・不当な事態が、あらゆる部門でひろがっている状況が、まるで現代社会の縮図のようによく分かるメールでした。3時間しか眠れないトラック運送、長崎コラボレートの偽装請負、グループホームの劣悪な福祉労働、富士通子会社やNTTグループ、名古屋交通局など、異常な現状を訴えられたみなさんの勇気に敬意を表します。

まず第1に思うことは、偽装請負やサービス残業など、明らかに違法なものは、一刻も早く問題にして解決して下さい。労働基準監督署をはじめ関係当局は、この種の問題に対応するかどうかが、社会的にするどく問われる状況にあります。マスコミでも大きく報道し、国会でも取り上げ大きな問題になっています。

第2は、問題解決の出発は直接労働基準監督署に訴える方法もありますが、全国にある全労連の労働組合相談センターに連絡し、できれば地域労組に加盟し、組合員として、団体交渉で解決してはどうでしょう。いじめや派遣への差別、契約うちきりの攻撃、その他どんなささいな問題でも、労働組合の力で解決できるという展望を持って挑んでみましょう。

第3に、就職活動での厳しい現状のなかで、どう生きるかという問題です。どこでもいいからというのでなく、22番さんのようにブラック企業かどうか見分けることも重要です。資格をとっても、職歴が正社員でないとだめとか、即戦力としてしか採用しないという企業の多いなかで、むなしくなることもあるでしょうが、あきらめず、何らかの資格をとるための努力はやはり大切ではないでしょうか。

「私は駄目人間です。生きる価値はありません」という思いもよく分かります。しかし、若者の二人に一人が非正規雇用で、無権利で働かされているという、この国の現実がおかしいのであって、「自分が駄目」などゆめゆめ思ってはいけません。15番さんのように、不正なことをする新卒をきちんと指導できない管理職に怒りを覚えたように、社員を人間扱いしない企業のなかでは人は育たず、管理職の質が大きく下っています。管理職の不当な対応や暴言に接して心を病む若者が激増していますが、仲間としっかり手をつなぎ毅然と立ち向かいましょう。そしてこの政治を根本から変えるたたかいに参加すれば新しい人生が拓けるかも。来る年は、12年に一度の地方選挙、参議院選挙が重なる大切な年です。仕事に付けないつらい毎日でしょうが、いま「学ぶ」時間があるという条件を活かし、社会科学の学習にチャレンジするのもおもしろいですよ。


プロフィール

なかた・すすむ

1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。

主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)

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