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笠井 亮(日本共産党衆議院議員)

写真職場から偽装請負と不払い残業の無法をなくそう

 「若者に仕事を」のホームページには今回22人の方からメールをいただきました。何人もの方々が『景気回復なんて経済団体が言っていること、若者には正社員の雇用はまったく増えず、相変わらず派遣、契約、業務請負の仕事ばかり』と告発しています。また、『4時間契約のパートなのに、毎日2時間ものサービス残業』との怒りの訴えもありました。

 その会社にとって、恒常的な企業活動として不可欠な業務部門であるにも関らず、そこに従事する労働者の雇用は二ヶ月単位でしか契約しない、これはどう考えても雇用するという企業の側が労働者への優越的な地位を利用した「不公正」な行為です。

 このような短期雇用は、従来からパートなどにありましたが、1995年に日経連(現・経団連)が打ち出した不安定雇用を拡大する労働力政策である「新時代の日本的経営」、これを後押しした政府の相次ぐ労働規制緩和政策、とりわけ小泉政権で進められた労働法改悪によって全国的に急速に広がりました。その結果、経営者側に、若者を使い捨てにしてもかまわないというモラルハザードを生み、さらに、重大な法違反を広範に引き起こす事態となってしまいました。

 いま、大きな社会問題になっている格差の拡大、ワーキングプアーの増大は、政府と財界の労働力政策が作り出したものです。

 大企業の製造現場で、偽装請負の違法を告発して直接雇用を要求し、ただ働きのサービス残業を労基署に申告する労働者のたたかいは、いま、かつてない前進の風を受けています。

 一年前に比べてもマスコミの扱いは一変し、労働者のたたかいに世論は大きく味方しています。国会では、10月13日の参議院予算委員会で日本共産党の市田忠義書記局長が行った、大企業が利用している偽装請負の質問に大きな反響が寄せられています。

 いま必要なことは、勇気を出すことだと思います。蔓延している偽装請負やサービス残業は、明白に法律に違反する行為なのですから、勇気を持って告発し、たとえ少数であっても労働組合をつくって交渉すれば必ず解決できます。相談してくれれば、いっしょに組合をつくるアドバイスをしてくれるところがあります。「ロウドウクミアイ?」などといわないで連絡してください。

 労働者の申告などで、企業に5年間で851億円をはるかに超える残業代を支払わせ、厚生労働省に偽装請負の防止・解消通達を出させたのも、その奥の力は労働者の「勇気」でした。


プロフィール

かさい・あきら

 2001年まで参議院議員を勤め、05年の総選挙で東京比例ブロックから衆議院に選出され、国会では、厚生労働委員会、憲法調査特別委員会などに所属。参議院時代より、小泉首相まで歴代4人の総理を相手に論戦を繰り広げ、テレビでもしばしば実況中継された。日本共産党中央委員・国際局次長として野党外交の現場に臨んで奮闘。「非核の政府を求める会」常任世話人など。

 1952年、大阪生まれ、東大経済学部を卒業後、同農学部でも学ぶ。青年学生運動以来、国際活動で30数カ国を訪問。家族は妻と母。母親は広島で被爆している。趣味 料理、ウォーキング。

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