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紙 智子さん(日本共産党参議院議員)

強制的な解雇はできない。あきらめないで、きっぱり主張して納得できる説明を求めよう

 「労働時間が長いのに残業代が出ない」、「給料が安い。有給休暇が取れない」「労働時間が長いうえ、個人の負担が重く、メンタルヘルスのようになってしまった」、「正社員になりたいが学歴、性差別でなれない。職場でいじめやセクハラがある」、「就職活動でハローワークの求人覧を見ているが、請負業や契約社員など非正規社員の採用が多く、正規社員になるには、年齢制限、資格、実務経験など条件がきつい、正規に合格してからも試用期間というのがあり、その間は契約社員のようなもの」など、今回も共通した切実な声が寄せられています。

なぜ、そうなっているのか、その背景に、企業の論理に基づいた日本の労働行政があることに、気がついている意見もありました。こうした声を、政府自身が知らないわけではありません。国会で質問すれば、「違法に対しては、きびしく指導する」など、常識的な答弁はするのです。

6月20日に政府が出した「国民生活白書」では、「適職」を探す若者は87年に比べ3割増えて558万人に上っていることを紹介し、こうした動向について分析しています。若者が「適職」を求める理由として、「企業が新卒正社員採用を抑制したため、パート・アルバイトを余儀なくされ『転職』を希望。景気の悪いときに不本意な職に就いた人が多かったこと、週60時間以上の長時間労働を強いられる若者が二割以上に達していることも背景になっている」としています。一方、「適職」探しに成功する若者が増えていないこと、その背景に、企業が既卒者の採用に後ろ向きなこと、フリーター経験をマイナスに評価しているなど企業の「論理」が壁になっていることも分析しています。

ここまで、はっきり分析しているなら、なぜ、もっとしっかり是正できないのかと思いますが、そこが問題です。いつの時代も当事者を中心にしたたたかいと運動によって、一歩一歩前進を切り開いてきたのです。たとえば、サービス残業の撤廃を求める行政指導文書を出させるなど、運動と国会論戦の力で、最初は困難に思えることでも、あきらめず、ねばり強い積み重ねによって、変えてきた経験があります。

派遣先で口論して解雇されたという告発もありましたが、本来、法的には一方的にやめさせることはできないはずです。本人が辞めるつもりがなければ、強制的にやめさせることはできません。そのことをよく知って、きっぱり主張し、納得いくように説明を求めることが大事だと思います。経験ある身近な労働組合や、共産党の事務所に相談してみてください。


プロフィール

かみ・ともこ

1955年札幌市生まれ。恵庭南高校、北海道女子短期大学工芸美術科卒業。日本民主青年同盟北海道委員、同中央委員会副委員長。日本共産党中央委員会青年学生部、道常任委員などを歴任。2001年7月参議院議員選挙、比例代表で当選。現在、日本共産党中央委員、参院農林水産委員、予算委員、沖縄北方特別委員会。家族は夫。趣味はスキー、山歩き、絵画、料理。

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