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大木寿さん(全労連・全国一般労働組合 中央執行委員長)

写真生活保護基準以下の最低賃金はおかしいのです

 【20】の人へのアドバイス 

 13万円程の給料(10万円+交通費+残業代)で、いくら残業しても1万円。年収は残業代込みで約150万円で、時給にすると650円ほど。あまりにもひどい給料ですね。

 月10万円だと、ほぼ最低賃金程度か、それ以下かも知れません。正確な時給は、「10万円÷月間の所定労働時間(残業含まず)」で計算できます。最低賃金は都道府県によって違いますが、全国平均で時給668円です。東京は714円ですが、最低賃金で一日8時間22日働いた場合、125,664円です。あなたの働いている県の最低賃金は労働基準監督署に聞くとわかります。ぜひ、計算してみてください。もし、最低賃金以下であれば、労働基準監督署にその事実を言えば、会社は是正しなくてはなりません。

 しかし、この最低賃金では「健康で文化的な最低限の生活」(憲法25条)はできません。生活保護基準は、東京23区で18歳単身の場合は141,680円です。この額に税金と社会保険料を加えて、働いて得る給料を計算(生活保護基準×1.26)すると、178,517円になります。時給に換算すると1,281円で最低賃金の1.8倍です。

 パートやアルバイト、契約や派遣の人たちだけでなく、正社員でも最低賃金程度の賃金で働かされている人が急増しています。私たち労働組合(全労連)は、「生活保護基準以下の最低賃金はおかしい。全国どこでも時給1000円以上、月額15万円以上の最低賃金に」と政府に求めて運動を進めてきました。

 財界は最低賃金の引き下げを求めていましたが、私たちの運動や世論もあって、最低賃金を毎年数円上げさせてきました。さらに、政府の労働政策審議会最低賃金部会は、「最低賃金の決定基準について、『労働者の生計費』については、生活保護との整合性を考慮する必要があることを明確にする」などの公益委員案を出し、いま審議が行われています。 生活できる最低賃金にする絶好のチャンスです。私たち労働組合は、「生活できる最低賃金と均等待遇」を求める署名や政府交渉などの運動を進めています。若者やパートの人たちも運動に参加しています。沢山の署名を政府に提出して、なんとしても実現したいのです。ぜひ、多くのみなさんが署名の協力して頂くようにお願いします。ぜひ、下記の連絡先に連絡して、署名用紙を取り寄せて、署名を集めてもらえないでしょうか。

 あなたの会社は、給料やボーナスだけでなく、サービス残業(残業代の未払い)の問題もあります。就職が困難なときです。少しでも働く条件を良くするには、労働組合が必要です。一人でも入れる労働組合がありますから、ぜひ相談してみてください。

 連絡先は、「0120−378(みなは)−060(ぜんろうれん)」です。


プロフィール

おおき・ひさし

(略歴)
1943年 東京生まれ。5人兄弟の末っ子
1971年 電子部品メーカーSMKの神奈川工場で組合結成。委員長に選ばれる。
会社は組合つぶしのために、私を配転命令拒否を理由に解雇。組合員の脱退や6年半のたたかいで勝利し、私は労働組合の仕事(専従)につく。
1987年全国一般労働組合神奈川地方本部の副委員長に選出される。労働相談・組合づくり、解雇や倒産、経営危機などの対策とたたかいに明け暮れる。
1989 年 全労連・全国一般労働組合が結成され、中央本部書記長に選ばれる。
2002年 中央本部委員長、全国労働組合総連合(全労連)副議長に選ばれる。
(家族)妻:保育士、子ども:2男2女
(趣味)山登り、スキー、旅行

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