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林萬太郎さん(大阪府立高等学校教職員組合副委員長)

新聞への投稿、集会などに参加して、若者自身の声を大きくしていこう

 19人の方の声を読ませてもらいました。今回も多くの若者から、「仕事がみつからない」「学歴・性別で就職差別がある」「給料が安い」「いつリストラされるか不安」などの声が寄せられており、正規であっても非正規であっても雇用不安・低賃金・無権利・長時間過密労働などの中で働くことが「普通」になってしまっていることが実感できます。特に、「ただ真面目に働きたいだけなのに、それすら叶わないのは哀しすぎる」「生きている楽しみなんて何もない。それでも、生きていく為には働く場を求めて受け続けるしかない。でももう正直、疲れました」「これから歳をとるのが物凄く怖い。老後を考えると、とても不安になります。生きていることが辛くなるのです」という若者の声を読むと、本当に胸が痛みますし、このような事態を作り出した人たちに怒りを覚えます。

 若者たちが、自分自身の成長・発展と仕事・会社・社会の発展を重ね合わせ、未来への希望と意欲を持って働いてこそ、社会は前進し発展するのです。今の大企業などの景気回復は、若者と日本社会の未来をも今の利益に置き換えて得られたものであり、この点で小泉自公内閣の責任はその罪「万死」に値するものです。

 最近、マスコミなどで「格差社会」問題が取り上げられ、若者の雇用と労働、生活についても論議が広がりつつあります。実態と問題点を挙げて企業や行政の責任で改善すべきだという意見も出ていますが、まだまだ「若者の意識に問題がある」式の意見も多く出ています。この動きの背景には、私たちの声と運動が無視できなくなったこともあると思いますが、放っておくと議論がすりかえられ政策がねじまげられてしまいます。新聞へ投稿したり、あちこちでやっている署名運動や集会などに参加することで、若者自身の声を大きくしていきましょう。

 ジョブカフェの実態についても、「運営を委託された企業が利益を挙げるために、企業受けの良い学生には力を入れるが、そうでない学生は相手にしない」という声が寄せられています。就職連絡会などが、制度導入時から問題点と指摘していたことが、若者の声で裏付けられたものです。制度の趣旨に反する問題点ですから、様々な方法で追求し、改善を求めていきましょう。

  


プロフィール

はやし・まんたろう

大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長

1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。

「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。

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