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山口富男さん(日本共産党衆議院議員)

写真日本経団連よ、青年の声に耳を傾けよ

 皆さんからのメールを読ませて戴きました。

「34歳 派遣社員(男性)」の方は、派遣社員の過剰な増大は、今後の日本社会で正社員と派遣社員間の賃金格差が生活力の衰退と生活意識の低下へ繋がる、そして税金の不払いも起きてくるのではないか、と予測し、目先の金儲け主義でなく恒常的に安定した社会システムが必要だと述べています。事実、「エコノミスト」誌の試算では、大卒正社員の生涯年収は2億7千万円、同じ大卒でもフリーターは5千万円、一生涯で2億2千万円もの格差が生ずるのです。逆に言えば、企業はフリーターを使うことでそれだけ儲けているわけです。

 また、「29歳 派遣社員(男性)」の方は、政府が開催した「若者の人間力を高めるための国民会議」に対して、『肝心な高める場を若者から奪っている人たちがよく言う』と批判し、逆に「企業の誠実さを高めるための国民会議」を発足させろ、と主張しています。私も全く同感です。

 今から10年前の(1995)の5月に、日経連(今の日本経団連)は「新時代の日本的経営」という政策を発表し、今後の労働力政策として A長期蓄積能力活用型グループ B高度専門能力活用型グループ C雇用柔軟型グループ、の3つに労働者を区分し、採用から処遇まで差別化していく方針を打ち出しました。

 この政策は、長期不況のなか「国際競争力強化」の掛け声の下に、徹底したリストラ・人減らしを強行するなかで企業社会に貫かれてきました。

 その結果、大企業は正社員を採用せず、パート、フリーター、派遣、請負という不安定雇用を膨張させ、若者の約半数(48.2%) はこの不安定労働者にさせられています。そして減らされた正社員には長時間残業を押しつけ、サービス残業を蔓延させ、うつ病や過労自殺を急増させているのが今日の姿です。

 日本経団連は、「CSR(企業の社会的責任)の推進に積極的に取り組む」とか「コンプライアンス(法令遵守義務)の徹底」を声高にアッピールしていますが、大企業の不祥事や企業犯罪であるサービス残業はいっこうに減りません。私たちの追及と運動で、支払わさせたサービス残業代は670億円を超えるくらいになっています。

「企業の誠実さを高めるための国民会議」の開催こそ必要、と言う批判と提案に応え、日本経団連は青年の声を真摯にきくべきです。 


プロフィール

やまぐち・とみお

 1954年1月29日静岡県三島市生まれ。同志社大学卒業後、日本共産党専従に。社会科学研究所事務局長、文化・知識人委員会責任者、知識人局長として、幅広く活動。
 2000年より衆議院議員(2期)。比例代表・東京ブロック選出。衆議院・厚生労働委員会委員、憲法調査会委員。党国会議員団・厚生労働部会長。憲法調査会部会長。国会では、発達障害の支援を考える議員連盟副会長、ハンセン問題の最終解決を進める国会議員懇談会副会長。地域経済・くらし・福祉の問題から、平和・外交・憲法まで、「国民が主人公」の政治の実現のため奮闘。アメリカ、メキシコ、ロシア、オランダなどでの憲法事情の調査に参加。
 家族は、妻と二人の娘。フォークギターと古書探索が趣味。
主な著書に、『21世紀と日本国憲法』(光陽出版社)、『新しい世紀に日本共産党を語る』(新日本出版社)など。

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