[閉じる]

中田 進さん(関西勤労者教育協会講師)

憲法には25条というすばらしい条項があります。――「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と

写真 
 ホームレス化の危険、過労死寸前の深刻なみなさんの声を大臣に直接聞かせたいという気持ちでいっぱいです。
 日本国憲法という根本的な法律があります。その憲法の99条には「国務大臣・国会議員・裁判官・公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」とあります。
 国務大臣はこの憲法を尊重しないどころか、踏みにじり国民が人間らしく働き生きる権利をうばっています。憲法27条には「勤労の権利を有し、義務を負う」とあり「賃金・就業時間・休息その他の勤労条件に関する基準は法律でこれを定める」と明記されています。この法律が労働基準法です。
 みなさんの声にある現状はこの法律に違反し、雇い主は罪に問われる行為をしています。「基準監督署へ行くように進められましたが、行く暇などありません。それに会社と対立して首を切られるのも困りモノです。何とかならないんでしょうか?」
 という切実な声もありますが、ちょっとした休憩時間に電話(近くの労働基準監督署)して実状を伝え、自分の名前はふせることもできますからとりあえずがんばってみてください。また全労連(ぜんろうれん・ホームページ)にアクセスしてくだい。
 憲法には25条というすばらしい条項があります。概略「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり「国は社会保障の向上と増進に努めなければならない」とあります。
 「貯金を崩して生きて来たので貯金も無し。どうして良いのか分かりません。毎日マヨネーズご飯とか納豆ご飯です。最悪生活保護とかを考えてしまうのですが、認定も厳しいと聞きますし…。 困りました。もう今月の家賃も光熱費も払えなくなってしまい、この先就職が決まっても最初の給料までの交通費も出せない無い状態です。
 しばらくホームレスの生活もやむを得ないのかと諦めています、27歳でホームレス…生きて行くのが苦痛です」。
認定は厳しくても「人間らしく生きる権利」あることを確信して、役所の窓口で粘り強く実状を訴えて下さい。くわしくは「生活と健康を守る会」(03ー3354ー7431)に相談して力になってもらいましょう。
 「業務請負委託業界に対して厳しい規制を」という声がありましたが同感です。国会でも、くりかえし日本共産党で取り組んでいただきたいですね。
フリーターが次第に年齢が高くなり、自分の老親や自分の老後のくらしが心配になっているということも深刻ですね。全国の自治体が必死で若者の就職問題にとりくむよう大きな大きな運動をおこしましょう。非正規労働者もどんどん労働組合に入り、労働組合は非正規労働者をどんどん迎え入れ一大勢力をつくりましょう。そこからあらたな歴史がひらけることも。
 憲法の27条、25条だけでなく、まともに憲法が守られる社会になれば、みなさんの人生が変わります。でもいまこの憲法の9条をはじめ、大切な条項を変えようという動きがあります。衆議院480議席のうち465議席の人が改憲派の政党に属しています。日本国憲法の危機です。みなさんの人生と重ねて学び考えましょう。


プロフィール

なかた・すすむ

1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。

主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)

[閉じる]