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山口富男さん(日本共産党衆議院議員)

あきらめず、あせらず、メル友とともに労働組合を――憲法28条には、労働者の団体行動の権利がかかれています写真

  仕事が見つからない、正社員になれない、就職に性差別がある、長時間残業で休暇も取れない、サービス残業が蔓延している――若い人たちからのメールを読むたびに、いつも共通して出されています。

 国会はいま、自民・公明連立政権のもと、民主党が「脱野党」を宣言し、いっそう対抗軸のない「二大政党制」に傾いていくなかで、フリーターへの課税強化や定率減税の廃止など大増税路線が進められようとしています。

 また財界の総本山である日本経団連は、「05年版・経営労働政策委員会報告」で政府にたいし、消費税を16%まで引き上げることや、いっそうの規制緩和として労働者派遣法の改悪、労働基準法を改悪してホワイトカラー労働者には労働時間規制を廃止せよ、産業別最低賃金制度も廃止せよ、などと要求しています。言いかえれば、派遣や請負などの不安定雇用労働者をもっと増やせ、長時間労働ができるようにせよ、最低賃金をもっと下げよというものにほかなりません。とくに、サービス残業を摘発している労働基準監督行政には、増悪を燃やしています。労働者に残業をさせておきながらその割増賃金さえ払わないという、明白な企業犯罪に対する反省心のひとかけらもないのです。このような政府や財界の行く手には「待った」をかけなければ、日本社会の健全な発展も将来もありません。

 そのために、北海道から沖縄まで、津々浦々にポストの数ほど労働組合をつくろうではありませんか。労働組合は、全国の国民の運動の中心を担っていくことになるでしょう。

 この機会に憲法をぜひ読んでみてください。

 憲法は、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しています。(憲法25条)。

 その上に立って、日本の労働者に二つの大きな約束をしています。その第一は、27条で、すべての国民に労働の権利があること、そして賃金、労働時間、休息、そのほかの労働条件の基準を、法律で定めるとしています(労働基準法)。

 第二に、28条では、労働者が労働組合をつくり、団体交渉を行い、さらにストライキなどの団体行動をする権利を保障する、としているのです(労働組合法)。

 労働組合は、労働者であれば、誰でもつくれることになっています。そして労働組合が団体交渉を要求すれば、会社側は受けなければなりません。そして、正当な組合活動であれば、会社側が損害賠償を請求することもできませんし、刑事罰に問われることもありません。労働組合は憲法にもとづき法的に保護されているのです。

 『仲間とともに労働組合を』つくって、派遣・パート労働者は正社員との均等待遇を実現しましょう。正社員化や、また、ただ働きをなくし、労働時間を短縮させて雇用を拡大させましょう。

 むつかしいことではありません。あきらめず、あせらず、地道に労働組合づくりにとりくむかどうか、だけです。若者の将来にとっても、日本社会の未来のためにも、急がば回れ――ではないでしょうか。


プロフィール

やまぐち・とみお

 1954年1月29日静岡県三島市生まれ。同志社大学卒業後、日本共産党専従に。社会科学研究所事務局長、文化・知識人委員会責任者、知識人局長として、幅広く活動。
 2000年より衆議院議員(2期)。比例代表・東京ブロック選出。衆議院・厚生労働委員会委員、憲法調査会委員。党国会議員団・厚生労働部会長。憲法調査会部会長。国会では、発達障害の支援を考える議員連盟副会長、ハンセン問題の最終解決を進める国会議員懇談会副会長。地域経済・くらし・福祉の問題から、平和・外交・憲法まで、「国民が主人公」の政治の実現のため奮闘。アメリカ、メキシコ、ロシア、オランダなどでの憲法事情の調査に参加。
 家族は、妻と二人の娘。フォークギターと古書探索が趣味。
主な著書に、『21世紀と日本国憲法』(光陽出版社)、『新しい世紀に日本共産党を語る』(新日本出版社)など。

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