[閉じる]

中田 進さん(関西勤労者教育協会講師)

せっぱ詰まったその気持ちとパワーを仲間づくりと国会や地方議会への勢力づくりに

写真 みなさんの声の中で、思わず「そうだ」と納得したくなるような内容に出合い、考えさせられました。

 一つは「派遣・請負の求人ばかり載せているハローワークのどこが職業安定所なのか!? 理解に苦しみます。ハローワークという横文字にするから、言葉の意味を判り難くしているのです。ハローワークの名前を昔のように職業安定所にもどせば派遣・請負の求人がいかに悪であるか思い知るはずです。」

 職業安定所はいま、まったくひどい実態になっていますね。労働者を「安定」させないで「不安定」な雇用に追いやっているとしか思えません。もっとも厚生労働省の担当の労働者の多くはなんとかまともなところで「正規雇用」として、働ける所を紹介したいと思っているのでしょうが、「非正規」の「不安定雇用」の求人がほとんどという状況に心を痛めています。それにしても「ハローワーク」という横文字に私もずっと違和感を持っていました。求人側へ積極的な指導ができる権限を与え、文字通り雇用の安定が促進できる機関になって欲しいですね。

 もう一つの声は「派遣法の即刻廃止」「派遣会社・業務請負会社の駆逐」という内容です。

 職業安定法44条で、そもそも「派遣」は禁止されていました。それが労働者派遣法が強行され、派遣事業が合法となり、その範囲がどんどんひろがってきました。そのなかで派遣会社が、つづいて「請負会社」が広がりいまや一万社、そこでフリーターが100万人も雇用されています。だからこの派遣法の廃止も派遣会社・業務請負会社の駆逐も「共感」できます。

 しかし「派遣の方は、辞めてしまいましょう」「失業中の方は、どこまでも正社員での就職にこだわりましょう」という「戦術」ではなかなか運動としてひろがらないでしょう。

 じれったい気持ちはわかりますが、やはり悪法を廃止したり改善したりするのも、また企業の横暴を規制するのも法律です。だから切羽詰まったその気持ちとパワーを仲間を労働組合に組織する方向や、法律改正に必要な国会や地方議会の勢力をどうつくるかを考えてみませんか。

 昨年地域最低賃金で生活したらどうなるかを「体験」し引き上げをアッピールしたら多くの地方議会で保守系議員も賛成し44の地域で改善されたのです。みんなが参加できる方向をご一緒に考えましょう。


プロフィール

なかた・すすむ

1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。

主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)

[閉じる]