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長時間勤務でうつ病に 自分のせいだ、とあきらめないで

会社に勝訴中原将太さん(28)


 労働者をモノ扱いして働かせる会社を訴えた青年がまた勝訴しました。うつ病になったのは長時間勤務のせいだとして、富士通の子会社を相手に裁判を起こした中原将太さん(28)です。大阪地裁(田中敦裁判長)は訴えをほぼ認め、会社に慰謝料112万5千円の支払いを命じたのです(5月26日)。

 関西総局・かせ野真里記者

 システムエンジニアとして働いてきた中原さん。「3年半にわたってたたかってきましたが、病気になったのは会社の責任と認めてもらえてよかった」と話します。

 一部、原告にもうつ病になった責任があるとしていることで中原さんは控訴。職場復帰を求めて会社と交渉しています。

 出身は岡山県。大阪のコンピューター専門学校を卒業し、02年4月、22歳で富士通徳島システムエンジニアリング(現・富士通四国システムズ)に入社しました。

 新人研修では、「社会人は3日徹夜してでも仕事を仕上げる」などとたたき込まれます。

 6月、大阪の現場に配置され製薬関連のソフト開発の仕事に着任。転機は10月でした。

 一人ずつ、前方と左右を金属製の壁で仕切られた机だけの部屋に移されたのです。同僚との会話を禁じられ、一日中パソコンに向かわされました。背後の席の上司が監視し、少しでも能率が悪いと、どなったり足をけったりしました。

ふと気づくと

 上司が決めたスケジュールは、朝8時40分から午後5時半までという就業規則ではとうていさばききれないノルマでした。連日午前零時すぎまで残業。

 「1週間に2、3日は午前3時までかかりました。でもいくら働いてもタイムカードは午後9時で切らされました」

 夜は帰宅途中に買ったコンビニ弁当を5分でたいらげ、シャワーを浴び、4時間睡眠をとって朝ごはんを食べる時間もなくまた出勤。「休み」の日も会社に出て働きました。

 休日は月1〜4回。月150時間もの時間外労働は、半分しか残業代が支払われませんでした。

 絶え間なく襲う睡魔。それに耐えるため、一日中コーヒーを飲んで清涼菓子を食べ続けました。耐えられなくなるとトイレで泣くようになりました。

 働きだしてもうすぐ2年というある日、仕事中にふと気づくと失禁していました。神経内科で「うつ病のため半年間の休息が必要」と診断されます。上司に休職願を出すと「最後の仕事をしろ」と、休みの日の前日まで1日15〜16時間働かされ、ようやく4月5日から休みをもらいました。

 「休職中は電話にも出られず風呂にも入れなくて。一日中、布団をかぶっていました。最悪な精神状態。会社への怒りだけでした」と中原さん。

はじめは一人

 はじめはたった一人のたたかいでした。インターネットで労働基準法を調べ、04年6月、労基署に告発。労基署は、夜最後に帰る社員が氏名を記入する「退室表」とメールの送受信記録から、会社に未払い残業代約89万円の支払いを命じました。10月、大阪地裁に慰謝料の支払いを求めて提訴しました。

 12月にはうつ病の労災申請(06年4月に認定)。精神障害者申請をして障害等級2級と認定されました。地域労組「城北友愛会」が一緒にたたかってくれました。

 城北友愛会の組合員・小玉郁(かおる)さん(28)は感心します。

 「不眠、手の震え、汗…。あれだけひどい状態の中でよくたたかう気になったなと思います。自分のためだけじゃないという強い信念が、支えになっていたんですね」

 中原さんは「『会社がにくい』と始めた裁判でしたが、いまはこんな会社を生む社会を変えたい」といい、こう話しました。「いまひどい目にあっている人は、自分のせいだとあきらめないで。立ち上がった人と一緒にたたかっていきたい」

(2008年07月13日付「しんぶん赤旗」)



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