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林萬太郎さん(大阪府立高等学校教職員組合副委員長)

若者と日本社会の未来を真に明るくする政治を実現させるために、政治への関心を持ち続けましょう

  51通のメールを読ませてもらいました。人数も今までになく多いのですが、今回は30歳代や40歳代の人からの深刻な悩みが多く寄せられています。

 「毎日働いても給料はたった11万。正社員にもなれない。生活は苦しいです」「募集を見ても学歴、経験、免許資格などが必要と書いてあり、仕事になかなかつけません」「自分は何とかして働きたい気持ちで仕事を探しますが、まったく元手がないのでスーツ一式も買えず、面接に行くこともすぐに諦めてしまいます」「働く意欲と健康だけは自信があります。でも職場が無いのです。正社員になるのを拒んで生きてきたわけではありません。正社員で雇ってもらえる職場に恵まれずにここまで来てしまったのです」など、「ちゃんと働きたい」と努力しているのに仕事につけない今の社会の実態が告発されています。30歳代から40歳代という本来なら一定の経験を積み企業・組織の中で中心的に働いているべき多数の人たちがこのような状態に置かれていることは社会的に大きな損失であり、日本社会のあり方の問題として対策を講じられるべき問題です。

 さらに、多くの若者たちが深刻な状況に追い込まれています。「地方から出てきて一人暮らしのため、相談する人もいません。仕事がしたい、でも、派遣社員はいつ首になるか不安です。正社員の仕事がほとんどありません。どうしたらいいか途方に暮れています」「職探しもなかなか難しい 結婚したいが社員になれない 悔しい なんとかしたいと気持ちがあせり眠れない日もある」から、「資格を取ろうにもお金がない。もしお金があって取れたとしても経験がなければ受からない。どうすれば正社員になり普通の生活ができるのでしょうか? 夜眠るときこのまま目が覚めなければいいと思います」「バイトで保険関係は入れず月10万ちょっと。自立なんて無理。資格は欲しいが金がない。とったとしても経験がなければ意味がない。じゃあどうすればいい?税金・年金・高すぎる。いっそ事故にでもあって一瞬で楽に死ねたらと思う」「将来はもう真っ暗です。TVを付けてみても、セレブやスイーツなどどこか違う世界の住人になったような気分です。自分はいらない人間なのではないかと切実に感じます」「僕自身がいなかった方がいいと思う」「もう生きてるのが辛いです・・いなくなってしまいたい気持ちでいっぱいです」「完全に疲れました。生きる事自体もう、無理です」まで51通のメールのうち8通もが孤立し自殺をも考える状態にあるというのは異常な事態です。

 本来なら企業・組織や日本社会の未来を担う存在として元気よく働いているはずの若者たちが仕事も生活も保障されず、将来への不安と悩みを抱えて日々を過ごしている現状に胸が痛みます。そして、若者たちの苦しみから利益をあげ、株主と経営者たちの当面のもうけのために若者と日本の将来を食いつぶしてきた大企業・財界と自公政権に強い憤りを感じます。

 しかし、この間の若者たちの告発と運動で若者の雇用・労働・生活をめぐる情勢は大きく前進しています。総選挙へ向けての各党のマニフェストの中には「派遣の禁止・制限」「社会保険・雇用保険の適用拡大」「時給1000円」などが大きく掲げられています。特に、「職業訓練中の生活費支給」は私が就職連絡会事務局長の時に政策要求としてまとめたものですが、2003年の対政府交渉で「今の日本のシステムでは考えられない」と一蹴された記憶があるだけに感慨深いものがありますが、今や与野党ともマニフェストに入れています。

 これらの成果は、このホームページに声を寄せた人を含めて若者たちの雇用と労働の現状を告発し、勇気を持って大企業などを相手に立ち上がり裁判闘争などでたたかってきた多くの若者たちの運動で勝ち取ったものです。この原稿がホームページにアップされる頃には衆議院選挙の結果が出て、自公政権の退場と政権交代が実現しているでしょう。民主党を中心とする新しい政権に公約を間違いなく実施させ、若者と日本社会の未来を真に明るくする政治を実現させるために、賢い若者、信頼できる仲間を持つ若者めざして努力しつつ政治への関心を持ち続けましょう。


プロフィール

はやし・まんたろう

大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長

1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。

「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。

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