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平井哲史さん(弁護士)

現場に出てないからその分給料を払わないというのは賃金不払いの犯罪です

 雇用情勢を反映して、とにかく「仕事がない!」という声ばかりでした。「非正規切り」にとどまらず、正社員の大量解雇も次々とおこなわれています。私も、3件の解雇事件を担当していますが、原告の合計は40人にのぼります。世の中には、本当に経営状況が厳しくて人減らしをしなくてはいけない会社もあろうかと思いますが、私が担当している3件はいずれも一部上場企業で会社に体力はあります。そういう会社が簡単に人の雇用を切るというのは本当に許せません。きちんとした規制をつくることが今ほど必要なときはないと思います。みなさんの強い期待を日本共産党に集中していただけば、何かが起きるかも。

 総選挙での変化を期待しつつ、当面のことについてお答えしたいと思います。

▼ なかなか就職が決まらない

なかなか就職が決まらないという声のなかで、40代の方や母子家庭の方がいらっしゃいました。こうした方に限りませんが、とりわけ就職が困難な方については、当座をしのぐためにぜひ生活保護の受給申請をしてみてください。行政の窓口では「水際作戦」と呼ばれる追い返し作戦がとられているところもありますが、本来、生活保護は、自らの能力を活用しても生活ができない場合に支給を受けられるものですから、一生懸命就職活動をしても就職できなければ受給資格はあるはずです。少なくとも申請の受理はしなければならないことになっています。ですので、お住まいの地域の共産党の市町村議員さんや地区委員会、あるいは生活保護の申請支援をしている団体などへご相談ください。

▼ 正社員にしてもらえない

何年も働いているのに正社員にしてもらえないという声もありました。現行制度のもとでは、3年をこえて同じ業務に派遣労働者を使い続ける場合以外には、法律上非正規社員から正社員への登用を義務づけるものがありません。法改正が必要ですが、その前にも労働組合による団体交渉で正社員化を勝ち取った例はあります。

 中には、無事に契約の更新ができたという方もいました。よかったですね(^o^)

そこで提案ですが、こうやったらうまくいったとか成功例があったらその体験談もぜひこのページに寄せていただきたいと思います。その体験談は必ず他の方の参考になりますから。

▼「現場に出る回数が少なかったら給料が少なかった!?」

さて、現場に出る回数が少なかったので給料が少なかったというとび職の方の話は気になります。会社の都合で休業をする場合でも、6割は休業手当として支払わなければなりません(労働基準法26条)。また、事情によっては使用者は全額を支払わなければならないこともあります(民法536条2項但書)。ですので、現場に出てないからその分給料を払わないというのは賃金不払いの犯罪となります。この雇い主は暴力団関係者で、労働基準監督署には告発しない、弁護士、労働組合に相談しないとの誓約書を書かされているとのことですが、そのような誓約書は公序良俗に反するので無効です(民法90条)。なので、そんな誓約書はなんの意味もありません。もっとも、相手が暴力団関係者というのが本当だとすれば、寮に入っていることもあるので報復をおそれるのは根拠があることです。ですので、どう対応するかは神経を使うと思います。お近くの労働問題に詳しい弁護士に面接相談をすることをお勧めします。また、場合によっては警察に相談に行くという方法もあろうかと思います。

▼ 自衛隊員からの内部告発も――

なお、自衛隊内部の状態を告発する内容の声がありました。こうした内部告発は現在、公益通報保護制度により法的に保護されるようになっています。しかし、相手による報復も考えられるところです(北海道警の内部告発をした警官が報復措置を受けて裁判をやっています。隊内でのセクハラを告発した女性自衛官も裁判をやっています)。ですので、対応は慎重にお願いします。こうした内部告発はwebでやるのではなく直接政党本部などに寄せていただくのがよいかと思います。


プロフィール

ひらい・てつふみ

1969年生。1994年早稲田大学法学部卒。2001年弁護士登録。東京法律事務所所属。登録以来,労働事件と労働運動を主たる分野として取り組む。個人加盟組織の出版情報関連ユニオン顧問。日本弁護士連合会憲法委員会幹事、第二東京弁護士会人権擁護委員会委員、自由法曹団事務局次長。一児の父。

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