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林萬太郎さん(大阪府立高等学校教職員組合副委員長)

いつの時代も「こんなこと許せない。黙っていられない」という若者たちの動きが時代の変化を作ってきた

 39通のメールを読ませてもらいました。「独身ですが給料が生活ぎりぎりしか貰えません。大きい会社ですが仕事でケガしても聞く耳持たずで、契約社員でいつ首になるかと不安もいっぱいです」や「就職活動中で収入がないのに、住民税7000円、国民健康保険24000円、国民年金14000円、毎月督促がきてますが払えずに滞納額が増えています。将来の不安どころでなく、今溺れているのです」など、本来なら日本社会の現在と未来を支えて元気よく働いているはずの若者たちが厳しい労働と低賃金、将来への不安と悩みの中で日々を過ごしている実態に胸が痛みます。そして、若者たちの苦しみから利益をあげ、株主と経営者たちの当面のもうけのために若者と日本の将来を食いつぶしている大企業・財界と自公政権に強い憤りを感じます。

 今回は特に、「ハローワークに派遣や請負の求人が掲載されているのも憤りを感じます。派遣法を禁止しないと、この国はますますおかしくなると思います」「小泉内閣による派遣法の門戸開放が結局は多くの貧困者を発生させ、自公政権は憲法25条の生存権を脅かすという大罪を背負った」「「派遣切りはキャノンではなく派遣会社がしたことで、責任はない」という御手洗氏の発言を聞いてビックリ。これが経営のトップ、しかも日本経団連会長の言葉か。」など、派遣法改正にかかわる声が多く寄せられています。派遣法改悪の歴史と派遣を原則自由化した1999年以前の状態に戻す改正の必要性はこの欄でも度々訴えてきましたが、この2ヶ月情勢は大きく動いています。昨年末から正月にかけての「日比谷派遣村」報道はこの問題の深刻さと広がりを全国民の前に明らかにし、志位日本共産党委員長は国会質問で「派遣切りは人間を使い捨てにする派遣労働の非道さ、残酷さを最悪の形で示している」「今起こっている事態は政治の責任で引き起こされた政治災害である」と問題の本質を明らかにしてきました。「違法行為である派遣切りを止めさせるよう政府は企業を指導せよ」「大企業はため込んだ内部留保を雇用確保に使え」を求める声を広げていきましょう。

 一方で、休業手当を払わない会社に「生活がかかっているので譲れません。労働者をバカにしている。私はどうしても許せません。対決するつもりです」など、あまりにひどい状況に対決するという声も寄せられています。また、「こんなことじゃ消費は増えないし結婚もできないし少子化は進みます。一番消費しなければならない時期にできなければ景気なんてよくなりませんよね」「大企業でも投資家ばかりを気にしている風潮があり、社員は二の次であり、なんだかおかしな世の中になってしまった」「こういう格差社会は日本を駄目にする。大企業ばかり生き残り、働く人たちは使い捨て。人を人と思わない社会が人を幸せにできますか」など、社会のあり方を考える声も多く寄せられています。私は、いつの時代も「こんなこと許せない。黙っていられない」という若者たちの動きが時代の変化を作ってきたと思っています。雇用と労働と生活を踏みにじられた多くの若者たちが立ち上がれば、今の自公政権を変え、若者が希望を持って働ける雇用制度を作ることが、きっとできます。今年の9月までには総選挙が必ずあります。若者と日本の将来を明るくするために、学習し、仲間をつくり広げ、声をあげていきましょう。そのことに期待し、応援しようと待っている大人たちもたくさんいますから。


プロフィール

はやし・まんたろう

大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長

1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。

「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。

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