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中田進さん(関西勤労者教育協会講師)

病気休暇、割増賃金、派遣の正社員化、生活保護の申請――泣き寝入りせずに声をあげませんか

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 今回も深刻な内容のメール相談がほとんどで、なんとしても力を合わせて解決したい気持ちでいっぱいです。

 2月8日の国会での共産党の志位さんの質問に多くの方から賛同のメールがあり、「今回のメール相談」にも「共産党のホームページにある派遣労働者保護法案は完璧、実現の日が早くくることを祈る」という声がありました。本当にそうですね。事態は大きく動きつつあります。2月27日の衆議院議員会館で全労連主催の集会があり、自民・公明・国民新党の秘書も参加し、共産・民主・社民の議員や弁護士・労働組合の発言のあと脇田龍谷大教授が「直接雇用を原則に、派遣も登録型や日雇い派遣を規制し、時給や社会保険も正規と均等待遇を」という報告がありました。その後、福田総理もメールマガジンで「安定した雇用は、消費を増やし経済の拡大にもつながります。正規雇用を増やす必要性は、経済界もご理解いただけるはず」とだすなどの事態にもなっています。

みなさんの声が大きな役割を担っています。

今回の相談のなかで違法性の高いケースが三つあります。有給休暇、労働時間、派遣期間の問題です。

まず「東芝テック(株)」の派遣で働き、体調を崩して一週間程休み、「病欠の一週間を有給扱いにして欲しい!」と申し入れたら、「法律で先に申請して貰わなければ有給扱いには出来ないと断られた」ということです。有給休暇は、労働基準法で定められており、六ヶ月以上勤務し、決められた労働日の8割以上出勤していれば、最低10日間とれます。三年六ヶ月以上働くと、14日の有給の権利が保障されています。会社の裁量で有給扱いしてもらうこともできるはずですが、就業規則で、別に病気休暇制度のある場合もあります。4日以上病気で休んだ場合は雇用保険で傷病手当を申請できます。雇用保険の税金の源泉徴収と社会保険以外は、労働組合または過半数の労働者の合意がなければ、勝手に『福利厚生費』を引くのは違法です(労基法24条)。

 次は労働時間の法違反の告発です。学習塾の勤務時間が2時から10時の8時間なのに、それをはるかに超える朝9時から夜10時、まさに13時間労働という実態のメールがありました。しかも残業手当が1000円とか2000円しかないというのは違法です。8時間を越えた5時間分については、25%割り増し賃金を支払わなくてはなりません。支払わない経営者は6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金という犯罪(労働基準法119条)です。裁判所は未払い残業手当ての請求(2年以内)にこたえ2倍(労働基準法114条)の賃金を支払うことを命じることになっています。その他の事例も労働基準監督署に訴えたら解決の方向に向かうと思われます。

 福祉の現場の労働者のメール相談が激増していますが、介護福祉士の資格をとっても一年で半数は退職するという想像を絶する現場です。やりがいのある仕事として選択し働きはじめた若者が去っていく事態は本当に悲しいですね。このような施設には、国と地方から、本来、措置費という費用が出て、福祉労働者の労働条件を維持しながら利用者にサービスができたのです。ところがこの措置制度が解体され、国も・地方も予算を削減し、福祉労働者の状態が悪化し、サービスが後退し利用料の負担増がすすみました。なんとしても法改正し、予算がもっと福祉に回るよう運動しましょう。せめて賃金は最低賃金を、できれば時給1000円以上、そして労働時間の厳守をさせるためにまわりの人と話し合い、要求してみましょう。

 回復の診断書をもらい、復職可能なのに、認めないなら、「就業規則」違反の復職拒否として労働基準監督署に訴えてみましょう。

ほかにも、2年後には正社員にする、という契約を破ったり、試用期間中にまともな理由もなく解雇したり、まさにやりたい放題の実態です。いじめ、パワハラ、差別、解雇はどれも違法です。泣き寝入りせず対決しましょう。派遣は3年超えると派遣先は直接に雇用することを申し出る義務が課せられています。26業種に関る場合は、同じ部署に正社員が採用されるときには派遣を優先的に正社員にするようにしなくてはなりません。

 最後に、身体が弱く十分働けないのに、生活保護を受けられないという相談がありました。貯金が一定額以下でなければ支給されないなどの条件はありますが、申請してみましょう。申請さえさせないという窓口対応は是正させましょう。パートで働きながらでも生活保護を部分的に受けることは可能で、社会保険にも加入できます。まわりの日本共産党議員や生活と健康を守る会などに相談していっしょに申請にいくなどしましょう。

みなさんからよせられた声


プロフィール

なかた・すすむ

1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。

主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)

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