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日本共産党

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赤旗

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18 高齢者

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

2019年6月

 65歳以上の高齢者は3000万人にのぼります。戦前、戦中、戦後の苦難の時代を、身を粉にして働き、家族と社会のためにつくしてきた人たちです。高齢者は「多年にわたり、社会の進展に寄与してきた者」「豊富な知識と経験を有する者」として「敬愛されるとともに、生きがいをもてる健全な安らかな 生活を保障される」と老人福祉法には明記されています。高齢者が安心して暮らせる社会をつくることは政治の重要な責任です。

 ところが、 現役時代の低賃金や生活苦、高齢期に入ってからの年金削減、社会保障改悪などにより、多くの高齢者のくらしは逼迫し、「下流老人」「老後破産」などの言葉がメディアをにぎわす異常事態となっています。日本の高齢者世帯は、年収200万円以下の層が4割を占めています。国民年金だけを受給する人の平均受給額は月5・1万円、厚生年金でも女性の平均受給額は基礎年金分を含め月10・2万円に過ぎません。生活保護受給者の半分は高齢者で、自殺者のなかに高齢者が占める割合も、日本は世界のトップクラスです。

 こうした現実があるにもかかわらず、安倍政権は“高齢者を支えるために現役世代が苦労している”など世代間を分断する宣伝を繰り返し、年金・医療・介護などのさらなる改悪を強行してきました。

 日本共産党は、高齢者の尊厳を傷つけ、くらしと健康を破壊する悪政と対決し、高齢者が大切にされ、安心して老後をおくれる社会の実現をめざして全力をあげます。

年金7兆円削減計画ストップ――減らない年金、頼れる年金に改革します

 金融庁の審議会が、“厚生年金だけでは足りないから2000万円の老後資金が必要”という「報告書」を出したことが国民に衝撃を与えました。「年金は100年安心」という政府・与党の宣伝がウソで、「自己責任」で老後資金を準備しないと生活ができないと、政府の「報告書」が認めたのです。

 自公政権がいう「100年安心」の中心は、「マクロ経済スライド」という年金給付の水準を減らし続ける仕組みです。日本共産党の追及を受けるなかで、安倍首相は、「マクロ経済スライド」が続けば、2040年代には「7兆円」の年金削減となることを自ら明らかにしました。これが実行されれば、現在でも月6万5000円に過ぎない基礎年金の満額は約3割、月2万円分も削られ、月4万5000円の水準にされてしまいます。

 「マクロ経済スライド」による年金の7兆円削減か、それとも、この仕組みを廃止して「減らない年金」に変えるのか、参議院選挙の重大争点となっています。

 日本共産党は、「マクロ経済スライド」を廃止して、「減らない年金」を実現します。そのために、①高額所得者優遇の保険料を見直し、1兆円規模の財源をつくる、②巨額の年金積立金を給付に活用する、③現役世代の賃上げと正社員化すすめ、保険料収入と加入者を増やす――という三つの改革をすすめます。

 年金額が基礎年金満額(月6万5000円)以下の低収入の年金生活者に、一律月5000円・年間6万円を、現在の年金額に上乗せして給付します。

 将来的には、最低保障年金を実現し、無年金・低年金問題を解決します。

 「消えた年金」「消された年金」問題に対する国の責任放棄を許さず、問題解決に向けた人員・体制を確保し、解決に責任を持つことを求めます。

後期高齢者医療制度の廃止、安心してかかれる医療制度へ

 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に囲い込んで、負担増と差別を押しつける悪法です。2008年の制度導入後、すでに5回にわたる保険料値上げが強行されました。

 高齢者差別への国民の批判をかわすため、制度導入時、当時の自公政権は、低所得者の保険料を軽減する仕組み(「特例軽減」)を導入しましたが、安倍政権は、その「特例軽減」を打ち切り、保険料を値上げする改悪を、2017年度から実行に移しています。

 また、財務省や財界からは、75歳以上の窓口負担を現行の「原則1割」から「原則2割」に引き上げることがたびたび提言され、国民のなかに不安が広がっています。

 日本共産党は、安倍政権が推進する、後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引き上げに断固反対します。差別と負担増の制度を廃止し、元の老人保健制度に戻します。

 差別制度を廃止したうえで、減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を推進します。

 医療費の重すぎる窓口負担に、多くの高齢者が悲鳴をあげています。ところが、安倍政権は、70~74歳の窓口負担を2割に引き上げる改悪を強行し、今後は75歳以上の窓口負担の原則2割化を狙っています。

 欧州諸国など先進国では、窓口負担は無料または少額の定額制です。日本でも、岩手県沢内村(現・西和賀町)で始まった老人医療費無料化制度が全国に広がり、1973年から1983年まで国の制度として実現した歴史をもっています。

 日本共産党は、高齢者を狙い撃ちにした、安倍政権の窓口負担増をやめさせます。「現役並み所得者」も含めたすべての高齢者の窓口負担を1割とし、“窓口負担ゼロ”の医療制度へ前進していきます。

 国民健康保険への1兆円の公費投入増を行ない、「均等割」「平等割」を廃止し、高すぎる国保料(税)を引き下げます。

 病床の削減・廃止計画や入院患者の“追い出し”路線をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます。

介護保険制度の拡充をはかります

 「老老介護」に疲れ果てた高齢者夫婦の無理心中や、要介護の高齢者を抱えた一家全員が遺体で発見される「孤立死」など、痛ましい事件が後を絶ちません。会社などで働いていた人が家族の介護のために仕事をやめる「介護離職」が毎年8~10万人にのぼるなど、介護の問題は、現役世代にとっても、大きな不安要因となっています。重い保険料・利用料の負担、深刻な介護施設の不足など、“保険あって介護なし”の事態を解決することは、いまや国民的課題となっています。

 ところが、安倍政権はこの6年間、要支援者サービスの保険給付外し、特養入所の「要介護3」以上への限定、利用料の2割負担・3割負担の導入、施設の食費・居住費の負担増など、介護保険をいっそう“サービスが利用できない保険”にする改悪を連打し、介護事業所の経営や介護現場の人手不足を加速する、介護報酬の大幅削減を強行しました。こんな大改悪を続けながら、口先だけ「介護離職ゼロ」を叫ぶなど欺まんでしかありません。

  日本共産党は、介護保険の改悪に反対し、特養ホームの抜本的増設による「介護難民」の解消、利用料・保険料の減免制度の創設、介護報酬の増額による介護・福祉職員の賃上げと労働条件の改善など、必要なサービスが受けられる介護制度への見直しをすすめます。

 利用料・保険料などの国民負担増を抑えながら、介護制度の抜本的改善をはかるために、介護保険にたいする国庫負担割合をただちに10%引き上げ、公費負担割合を60%にします。

高齢者の「住まいの人権」を保障します

 高齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。特養ホーム待機者は、「要介護1・2」を除いた後も30万人を超え、ケアハウス、グループホームなどの入居希望者も増えています。政府は、「高齢者住まい法」を改定し、「サービス付き高齢者向け住宅」の建設を推進していますが、その利用者は、家賃・食費・サービス費・介護保険の自己負担分をあわせて月15~20万円程度を負担できる人に限られます。低所得・低年金の人も含め、高齢者に住まいを確保する取り組みが必要です。

 低所得で体調に不安があり、様々な理由から同居家族がいない高齢者を低廉な費用で住まわせる「軽費老人ホーム」の増設、低所得者や 高齢者が住み慣れた町で暮らせるよう、国と自治体の責任で住宅整備や家賃補助を行う「地域優良賃貸住宅」の活用など、住宅福祉を抜本的に拡充します。虐待被害や貧困など困難を抱える高齢者を、市町村が救済して入所させる養護老人ホームの機能の再生・拡充をはかります。

 介護保険の住宅改修の改善をはかるとともに、自治体による住宅改造助成制度の新設・拡充をすすめます。サービス付き高齢者住宅については、自己負担への補助制度や入居者のくらしと権利をまもる仕組みづくりをすすめます。

 公営住宅やUR(都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。民間賃貸住宅に暮らす高齢者にたいする自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

高齢者の就業・雇用・賃金にかかわる権利を守ります

 政府は、年金制度改変の議論とも呼応させながら、“高齢者の就労促進”を叫んでいます。しかし、実際には、雇用継続や再雇用が認められる代わりに“賃金のダウン”“子会社への出向”といった待遇悪化を強いられ、ハローワークにかよっても、希望どおりの職種が見つからないなど、働き続けたいと望む高齢者の多くは、さまざまな困難を強いられているのが実態です。

 安倍首相は、5月の未来投資会議で「人生100年時代を迎え…70歳までの雇用確保の努力を促す法案を、来年の通常国会に提出」すると表明し、これまでの定年延長や継続雇用制度の導入に加えて、「他の企業への再就職や自営、起業、社会貢献活動への支援など幅広い選択肢を用意」すると発言しました。しかし、現状でさえ、定年延長は一部に限られ、65歳までの継続雇用制度も圧倒的に不安定な非正規雇用で低賃金です。高齢者を“安い労働力”として使いたいという財界の要望に応える政策が続くのでは、高齢者の雇用をめぐる矛盾は拡大するばかりです。

 雇用継続や再雇用を望む高齢者を、賃金ダウンや待遇悪化を促進する制度改悪に反対します。高齢者の雇用と賃金を守るため、アメリカやEUで実施されているような、「年齢による差別を禁止する法律」(仮称)の制定をめざします。

 地域の実情におうじて高齢者の就労・社会参加の場を広げることも大切な課題です。

 シルバー人材センターを利用した低賃金で劣悪な雇用の拡大に反対し、賃金や労働条件、労働災害補償など改善を図ります。高齢者の就労の場の確保のために活動している団体に対して、行政が支援をおこなうようにします。

 日本の高齢者の就業率は欧米諸国に比べて高くなっていますが、「高齢者が就労を希望する理由」は、日本では、「収入が欲しいから」が49・0%のトップで、「仕事が面白いから」と答えた人は16・9%にとどまりますが、ドイツやスウェーデンでは「仕事が面白いから」が4~5割のトップで、「収入が欲しいから」と答えた人は少数派です(内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」、2015年)。この事実は、日本で多くの高齢者が就労を希望する要因に、公的年金の水準が低すぎ、収入のために「働かざるを得ない」実態があることを示しています。

 高齢者が自らの意欲と能力にふさわしく働ける環境を整備することと同時に、社会保障を抜本的に拡充し、“高齢者が無理をして働かなくても暮らしていける社会”に転換していくことも重要です。

安心・安全のネットワークづくりをすすめます

 一人暮らしの高齢者(65歳以上)は年々増えつづけ、600万人にのぼります。だれにもみとられず亡くなるという、痛ましい孤独死は、民間団体の推計で年間2万人を超えるとされています。その背景には、医療制度の連続改悪、生活保護の“門前払い”や受給者バッシング、自治体の高齢者福祉の後退があります。社会保障改悪をやめて、改善・充実を図ることと同時に、行政が責任をもって地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる、安心のネットワークをつくることが急務です。

 日本社会の病理化が進行し、虐待被害や貧困・孤立など処遇困難な高齢者が急増する今こそ、自治体の福祉・保健・公衆衛生の再構築が必要です。自治体と地域包括支援センターが地域の高齢者の実態を把握し、介護保険や民間事業所では対応できない人を自治体が直接救済する体制を強化していきます。そのために、自治体の福祉職員の増員、地域包括支援センターの体制強化、養護老人ホームへの財政支援などをすすめます。

 NPO、ボランティア団体、地域自治会、社会福祉協議会などに、地域で高齢者の暮らしをささえる多様な主体に保険給付の“肩代わり”を押しつける改悪を中止し、本来の役割の発揮を応援して、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかります。高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所をきめこまかに整備します。

 「買い物弱者」(買い物難民)をなくすため、移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保などを行います。

政策