各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

56、核兵器

「核兵器のない世界」と「非核の日本」実現のため力をつくします

2017年10月


 日本共産党は被爆国の政党として、「核戦争の防止と核兵器の廃絶」を綱領にかかげ、その実現のために力を尽くしています。

 

核兵器の脅威とその非人道性

 世界には現在、約1万5千発の核弾頭が存在しているといわれおり(2017年6月1日現在、長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA))、核兵器の廃絶は、人類の生存にとって、緊急の課題となっています。

それはまず何よりも、広島と長崎へのアメリカの原爆投下の被害にみられるように、核兵器の使用が、他の兵器にはみられない甚大な被害をもたらすからです。

 熱戦や爆風によって、広範囲にわたって都市を破壊し、無差別に人々を殺りくするとともに、強い放射線によって、生き延びた人々も放射線障害によって長年苦しむことになります。放射線によって、現地に救難に入ることも困難です。被爆者が語る言語に絶する体験は、この兵器が非人道的な、大量破壊兵器であることをはっきりと示しています。いかなる理由であれ、いかなる地においても、このような兵器が再び使われることを許してはなりません。

 同時に、核兵器は、人類を死滅せる可能性のある、重大な脅威となっています。現存する核兵器のごく一部(100発程度)が都市で爆発しただけでも、舞い上がった粉塵によって、地球全体の気候に変動がおき、20億が飢餓にひんすると予想する研究結果もあります(核戦争防止国際医師会議「核の飢饉」、2013年)。

 米ロは「核抑止力」論にたって、いざとなれば核兵器を実際に使用する方針をとっており、核兵器を使用する訓練もおこなっています。両国で約1800発の核兵器が高度な警戒態勢にあるといわれ(米国科学者同盟(FAS)”Nuclear Notebook 2017”より)、何か異変があればすぐにでも発射できる状態になっているといわれます。意図的な核攻撃だけでなく、人為的なミスなどで、核ミサイルを打ち合いかねない危険な状態にあるのです。また、核兵器がテロ組織などの手にわたる危険もあります。

 核兵器の脅威は現実のものであり、それを根絶するには全面廃絶しかありません。

 

歴史的な核兵器禁止条約の成立

 核兵器禁止条約が7月7日、ニューヨークで行われていた「国連会議」で採択されました。122カ国という国連加盟国の約3分の2の国々が賛成しました。

 核兵器禁止条約は、法的拘束力のある国際協定として歴史上はじめて、核兵器を明示的に違法化し、禁止するものです。これまでも多くの核兵器に関する条約がありましたが、核兵器を違法化したものはありませんでした。禁止条約によって、核兵器は、非人道的で、反道徳的なものであるだけでなく、違法なものとなったのです。

 禁止条約は9月20日から各国の署名がはじまり、すでに53カ国が署名しています(10月3日現在)。条約は50番目の国が批准してから90日後に発効することになっており、来年2018年にも実現する見込みです。

 核兵器禁止条約の主要な内容は以下の通りです。

非人道的な兵器を違法化(前文)――前文は、核兵器が非人道的であるがゆえに、国連憲章、国際法、国際人道法ななどに反するものであると断じているところが、もっとも重要な点です。そして、核兵器は再び使われることがあってはならないし、その保障は核兵器の全面廃絶であるとしています。

被爆者の役割が明記されたことも注目されます。「核兵器使用の被害者(Hibakusha)および核実験の被害者の容認しがたい苦難と損害」に心を留めるとともに、核兵器廃絶を訴え続けた「ヒバクシャ(Hibakusha)の取り組み」を評価しました。被爆者について、被害者というだけではなく、「核兵器のない世界」という未来を拓く役割も強調しています。

「抜け穴」のない禁止(第1条)――この条約の核心である第1条(禁止条項)では、(a)開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、(b)移転、(c)受領、(d)使用と使用の威嚇、(e)(右記禁止事項の)援助、奨励、勧誘、(f)援助の要請/受領、(g)配備、設置、展開など、核兵器にかかわる活動を全面的に禁止しています。注目すべきは、「使用の威嚇」=「核抑止力」論も否定したことです。また(e)項によって、「核の傘」のもとに入ること――核兵器の威嚇を、「援助、奨励、勧誘」する行為も禁止されることになります。

核兵器の全面廃絶へ(第4条)――「核兵器のない世界」を目標にすえて、その枠組みをしめしています。つまり、核保有国が条約に参加する二つの道です。一つは、核兵器を廃棄したうえで条約に参加する道。いま一つは、条約に参加したうえで核兵器を速やかに廃棄する道です。条約は、核保有国に対して、参加の扉を開いており、核保有国は、「自分たちは条約の対象でない」と言いう逃れが出来なくなっています。

被害者への援助を規定(第6、7条)――ここでは、核兵器や核実験の被害者にたいする援助を規定しています。被爆者への援護・連帯をかかげてきた日本の原水爆禁止運動、世界各地の核実験被害者の願いを反映したものといえます。第7条に、核兵器を使用したり、実験したりした国に「適切な援助をおこなう責任」が盛り込まれたことも重要です。米国がこの条約に参加した場合には、被爆者に対する支援の責任が問題になりうるわけです。

このように、禁止条約は、戦後70年余の世界と日本のたたかい、そして広島・長崎の声がつくりあげた条約でもあります。核兵器廃絶につながる禁止条約として、必要な要素が盛り込まれた、現時点で考えうる最良の内容だと言えます。

 

日本共産党の貢献

 日本共産党は核兵器禁止条約の成立にむけて、力を尽くしてきました。

 核兵器禁止条約を交渉した「国連会議」は、各国政府代表と市民社会代表の双方によって構成されるという画期的な性格の会議でした。核軍縮交渉の会議で市民社会代表を会議の正式の構成員として認めたのは、今回が初めです。政府代表とともに、世界から100をこえる市民社会の代表が会議に参加しました。市民の代表が会議でも発言をし、文書で提案もし、それにたいして政府代表が質問や意見を言うなど、文字通り共同作業で、条約作りがすすめられました。

 日本共産党は、志位和夫委員長を団長に、3月の第一会期と採択された第二会期の7月に参加しました。世界100カ国以上の国の国会議員が超党派でつくっているネットワークである核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)の一員として参加しました。代表団は、第一会期で、「要請文」、「文書発言」を国連に提出し、38の国・機関と個別に要請・懇談を行い、精力的に活動しました。

 日本共産党の要請の中心点は以下のとおりです。

 「核保有国の参加を追求しつつ、仮に最初はそれが得られなかったとしても、賛成する諸国の政府によって核兵器禁止条約を早期に締結しよう。条約の内容は核兵器廃絶の詳細な手続きを定めるものでなく、まず禁止条約を一致できるところから作成し、核兵器廃絶への一歩を踏み出そう」

 この要請は、多くの参加国に共有され、その方向で会議が進行しました。その点では、会議成功に向けて、一つの貢献ができたと考えています。

 

核兵器禁止条約を力に「核兵器のない世界」へ

 核兵器禁止条約はスタートであって、ゴールは「核兵器のない世界」、核兵器の完全廃絶です。

<廃絶へ前進する「三つの力」>

 この目標へ前進するうえでは、次の「三つの力」が重要だと考えます。

 第一は、「核兵器禁止条約そのものがもつ力」を生かすことです。今後は国際政治の様々な場面で、禁止条約は、核保有国に迫る論戦をくりひろげるうえで、国際的な法的根拠として大きな力となるでしょう。

 第二は、「世界の多数の諸政府と市民社会の力」を大きく発展させることです。

 市民社会とは、反核平和運動をはじめとする市民の運動、非政府組織、学者、国会議員などです。「国連会議」に結集して、禁止条約をつくりあげた諸政府と市民社会の力で、圧倒的な国際的世論をつくりだし、核兵器保有国とその同盟国を、国際的に包囲していくことが、「核兵器のない世界」へ前進する根本の力です。

 この点で、2016年4月からはじまった「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(『ヒバクシャ国際署名』)をいっそう大きく広げていくことが重要となっています。

 この署名は、「後世の人びとが生き地獄を体験しないように、生きている間に 何としても核兵器のない世界を実現したい」と、9人の被爆者の連名によって世界によびかけられたもので、「すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を締結することをすべての国に求めます」というのが要求項目です。2020年までに世界数億の希望を目標にとりくまれています。これまでに、国内で515万人が署名し(2017年9月29日現在)、署名した自治体首長の数は、18の県知事を含む867市町村長に達しています(2017年9月12日現在)。

 各地では、被爆者団体を先頭に、原水協、原水禁(平和運動フォーラム)、市民団体など広範な団体が参加して、共同で署名がすすめられる経験も広がっています。自治体が率先して、地域ぐるみでとりくむところも生まれています。

 これを文字通り、国民的運動、世界的な運動としていくために、日本共産党も、その一翼をになって尽力していくものです。

 第三は、一つひとつの核保有国と同盟国で、禁止・廃絶を世論の多数にし、核兵器禁止条約に参加する政府をつくるたたかいです。

 「核兵器のない世界」への展望をきりひらくためには、「核抑止力」論をのりこえ、核保有国に「段階的アプローチ」ではなく、核兵器禁止条約の交渉開始へと舵をきらせることが必要です。そのためには、核兵器にしがみつく国々の政治を変えることがどうしても必要です。

 

日本政府は被爆国にふさわしい外交を

 被爆国日本で禁止条約に署名し、批准する政府をつくることが、決定的に重要となっています。

 安倍政権は、この条約を交渉した「国連会議」をボイコットし、条約が成立した後は「署名しない」と断言するなど、世界の大きな流れに逆行しています。こうした態度には、被爆者をはじめ内外で、批判と失望が広がっています。日本政府は、核兵器禁止条約の交渉を求める国連総会決議には、これが最初に提案された一九九六年から昨年まで、二一年間連続して棄権を続けています。

 日本政府は核兵器禁止条約に反対する理由は、これが核保有国と非核保有国の「分断」を深めるからだ、というものです。しかし、真の理由は、日本がアメリカの「核の傘」に頼る政策をとっているからに他なりません。

 安倍政権は、アメリカの「核抑止力」=「核の傘」が「自衛」に不可欠だという立場を表明しています(「国家安全保障戦略」2013年12月)。アメリカも核戦力で日本を守るとのべています(日米首脳会談、2017年2月10日)。日本は「自衛」のためには、アメリカの核兵器の使用やその威嚇を頼りにしているのです。

 こうした態度は、核兵器禁止条約とはまったく相容れないものです。核兵器の使用とその威嚇とともに、それを援助、奨励、勧誘することも禁止した条約のもとで、「核の傘」を維持することは出来ません。

 核兵器禁止条約の署名がはじまったもとで、いま日本政府に問われているのは、核兵器の非人道性を体験した被爆国として、核兵器の使用を認めるのかどうかという、根本的な問題です。

 日本共産党は、核兵器の非人道性を訴え、核兵器を禁止・廃絶する世界の流れの先頭にたつなど、被爆国の政府にふさわしい行動をとること、とりわけ、「核の傘」から脱却して核兵器禁止条約に参加ことを求めます。

これは、日米安保条約への態度の違いをこえて一致できるものです。野党と市民の共闘の大事な課題の一つとして核兵器禁止条約を位置づけ、核兵器禁止条約に参加する政府をつくるために全力をあげるものです。

<「核の傘」から脱却、日米密約の破棄で、非核の日本を>

 アメリカの「核の傘」から脱却するうえで重要な問題のひとつは、「日米核密約」を破棄することです。

これは、日本政府がアメリカとの間で、日本に寄港・飛来する米艦船・航空機の核兵器搭載については、「条約上の権利」として認めた秘密の取り決めです。2000年の国会審議で、日本共産党の不破哲三委員長(当時)は、1960年の日米安保改定時に結ばれた「討論記録」という決定的な事実を示し、その存在を明らかにしました。

 また、沖縄に配備した核兵器を本土返還までに撤去する一方、「重大な緊急事態」には再持ち込みの権利をアメリカに認めた密約も存在します(「日米共同声明に関する合意議事録」1969年)。 2015年に明らかになった米国防総省の文書は「危機の際に核兵器を(沖縄に)再持ち込みする権利」がいまも有効であることを示しています。この密約が、核兵器を再び持ち込む基地として、嘉手納、那覇などとともに、辺野古をあげ、「いつでも使用できる状態に維持」するとしていることも重大です。

 日本政府は、この「密約」は有効なものではないなどとして、破棄していません(外務省「有識者委員会」報告書2010年)。アメリカが必要と判断すれば、核兵器が持ち込まれ、核戦争の足場とされる危険があります。被爆国を先制核攻撃の拠点にすることは許されません。

 日本は「核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず」の「非核三原則」を国是としてきました。日本共産党は、「核抑止力」=「核の傘」の鎖を断ち切ること、「日米核密約」を廃棄して、「非核三原則」を厳守・法制化するなど、名実ともに「非核の日本」に進む実効ある措置をとることを強く求め、その実現のために全力をあげます。

 核兵器禁止条約に参加し、日米核密約の破棄と非核三原則の厳守・法制化など、日本の真の非核化にふみだしてこそ、北朝鮮への核ミサイル開発放棄も、いっそう強く、説得力をもって迫れるはずです。

 

原爆被害への国家補償と被爆者施策の抜本的改善をすすめます

 広島と長崎の被爆者は、原爆投下の直接の被害だけでなく、放射線の影響をはじめとする様々な病や健康の不安、さらには社会的な差別や経済的な困難などをかかえてきました。戦争責任を負う国は、被爆者にたいし補償をおこなうのが当然です。核兵器禁止条約は、「核兵器の使用または実験によって影響を受けた」犠牲者にたいして「医療、リハビリテーションおよび心理的な支援を含め、年齢および性別に配慮した支援を差別なく十分に提供し、かつ、彼らの社会的かつ経済的包摂を提供する」と定めていることは重要です。被爆国日本の政府は、この国際的にも、被爆者援護の先頭に立つことが求められています。

 ところが歴代政府は、戦争の犠牲はすべての国民が等しく耐え忍ばねばならないという「戦争被害受忍論」にたって、国としての補償をせず、被爆者援護も不十分なものにとどまっています。

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)をはじめ被爆者は、原爆被害への国家補償をもとめて、長年たたかいつづけています。16万人余りの被爆者(被爆者健康手帳保持者)の平均年齢は81歳をこえています。政府は一刻も早くこの願いにこたえて、被爆者施策の抜本的改善、原爆被害への国家補償に踏み切るべきです。

 政府は原爆被害を過小評価し、原爆症に認定される被爆者はきわめて限定され、被爆者援護は不十分なものにとどまっています。そのため被爆者は2003年から原爆症認定集団訴訟をたたかい、国の制度が被害の実態にあっていないことを司法の場で明らかにし、原爆症の認定基準を改善させてきました。

 しかし、その改善で認定者数は増えたとはいえ、いまだ被爆者手帳保持者の4%程度にすぎません。それは厚生労働省が依然として残留放射線の影響を軽視するなど、集団訴訟の判決をふまえた認定をしていないからです。これを是正させるために、2012年からは新たな訴訟もたたかわれています。

 被爆者のたたかいによって、厚労省は、被爆者代表も参加した原爆症認定制度の「あり方検討会」を行い、新たな認定基準も定めました。しかし、被爆者の要求にもかかわらず、認定の拡大は、小幅にとどまり、司法の判断との隔たりは解消されないままです。

 被爆者団体は、被爆の実態にふさわしく、狭い「認定基準」による「足きり」をやめ、全ての被爆者に一定の手当てを支給したうえで、障害の度合いに応じて加算する、という抜本的で、合理的な提言を出しています。

 日本共産党は、被爆者の要求を支持し、原爆症認定制度を、現行法の改正を含め、被爆者の実情・要求にそったものとするために尽力します。被爆二世対策、また海外に住む被爆者が日本に住む被爆者と同等の援護措置を受けられること、被爆実態に見合った被爆者手帳交付条件の見直し(被爆地域の拡大)を進めます。原爆投下後に放射性物質を含む「黒い雨」が降り注いだ、援護の対象となる降雨指定地域の拡大を国に求めます。

 政府は原爆被害に正面から向き合い、国家補償を実現する政策の根本転換をはかるべきです。

 

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