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日本共産党

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赤旗

2017総選挙/各分野の政策

55、安保・基地・自衛隊―戦争法、日米軍事同盟強化、米軍基地強化に反対、基地被害とオスプレイ、日米安保条約廃棄、武器輸出の全面禁止を

2017年10月


(1)憲法違反の安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻します

重点政策の「2、安保法制=戦争法、特定秘密保護法、共謀罪法を廃止し、立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻します」を参照してください。

 安倍政権は、北朝鮮の核・ミサイル開発で軍事的緊張が高まるなか、安保法制=戦争法を発動し、「米艦防護」、「燃料補給」を実施しました。 

  「燃料補給」は、戦争法にもとづいて、昨年9月に改定された「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」によるものです。改定ACSAで、米軍にたいする兵員・武器輸送や燃料補給、弾薬提供などの兵たん支援活動が大幅に拡充されました。政府が「国際平和共同対処事態」や「重要影響事態」と認定すれば、地理的な制限なく、地球規模で米軍や米軍主導の多国籍軍への兵たん支援として、発進準備中の爆撃機への給油も弾薬提供、武器輸送も可能となります。

 「米艦防護」は、安倍政権が昨年12月に決定した、自衛隊が米軍艦船などを守る「武器等」防護(自衛隊法95条2による)の運用方針によるものです。自衛隊の武器使用が引き金となって、日本が戦争の当事国になる危険が現実のものになります。

 同年11月には南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵されていた自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務も付与され、自衛隊員が海外で「殺し殺される」危険が現実のものとなりました。

 さらに小野寺防衛相は今年8月の国会答弁で、北朝鮮が米領グアム島を狙ってミサイルを発射した場合、集団的自衛権を行使で きる「存立危機事態」にあたり得るとの認識まで示しました。過去の政府答弁を明確に逸脱するとともに、仮に米領に向かうミサイルを自衛隊が迎撃すれば、その時点で日本は発射国から見れば敵国となり、日本自身が攻撃対象になる危険があります。

地球規模の日米軍事同盟にした新ガイドラインの撤回を

 2012年末に第二次安倍政権が発足して以来、日米安保条約を地球規模の軍事同盟に根本的に変質させ、米軍が世界中でおこす戦争に自衛隊が切れ目なく参戦することを目的にした動きが一気に進んでいます。その梃(てこ)となっているのが、日米両政府が2015年4月に合意した新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)で、安保法制=戦争法はその実行法というべきものです。新ガイドラインでは日米共同作戦を実行する統合司令部の役割を果たす「同盟調整メカニズム」(ACM)が新設され、すでに15年11月から動き出しています。新ガイドラインと戦争法にもとづく共同演習も実施され、日米軍事一体化が強まっています。

 安倍首相は今年2月のトランプ米大統領との首脳会談で、「日本は同盟におけるより大きな役割および責任を果たす」「日米両国は、2015年の『日米防衛協力のための指針』で示されたように、引き続き防衛協力を実施し、拡大する」ことを約束しました。これを受け8月に開催された日米の外務・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)でも、「あらゆる事態において同盟としての切れ目のない対応を確保する」「『日米防衛協力のための指針』の実施を加速し、日本の平和安全法制の下での更なる協力の形態を追及する」ことを確認するなど、日米による地球的規模での軍事協力、一体化が歯止めなく進もうとしています。「米国第一」を標榜するトランプ大統領は、そのタカ派的、反人権的な言動を繰り返し、国際社会の非難にさらされていますが、安倍首相はトランプ大統領には一切の批判を控えるという異常な対米追随姿勢をとっています。この両者による軍事同盟の強化ほど日本にとって危険なものはありません。日米軍事同盟の変質・強化は、戦後日本が歩んできた、「一人も殺さない、殺されない」という平和国家のあり方を根本から変えてしまうものです。

 ――安保法制=戦争法を廃止します。

 ――集団的自衛権行使を容認した閣議決定を撤回し、立憲主義を回復します。

 

(2)米軍の横暴勝手をやめさせ、基地のない平和な日本をめざしてたたかいます

重点政策の「7、米軍の新基地建設を中止し、基地のない平和で豊かな沖縄をつくります」を参照してください。

 日本には戦後72年を経たいまも、沖縄をはじめ全土に128もの米軍基地(米軍専用78、自衛隊との共同使用50)が置かれています。沖縄のような人口密集地に大部隊が居座っている国、首都圏に巨大基地を抱えている国は世界中で日本しかありません。

 しかも在日米軍基地はアメリカの世界戦略の前線基地であり、日本は殴り込みの一大拠点となっています。日本に駐留する米軍の部隊は、海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍など、その名の通り、世界中で起こる紛争に真っ先に殴り込むことを任務とした部隊であり、「日本を守る」ためのものではありません。

 いま、この米軍基地が全国各地で強化されています。新基地建設が強権的に進められている沖縄だけの問題ではありません。

 岩国基地(山口県)には今年に入り、米海兵隊の最新鋭ステルス戦闘機F35が16機配備されました。8月には、世界で唯一、海外配備されている空母艦載機部隊の厚木基地から岩国基地への「移転」も開始されました。来年5月までに、FA18戦闘攻撃機、EA18G電子戦機など約60機が配備され、岩国基地は所属機約130機と東アジア最大の航空基地となります。

 日本政府は岩国移転を厚木基地周辺の「騒音解消」のためと説明してきましたが、在日米軍司令部は8月、岩国移駐後も厚木基地は「日米同盟にとって重要な基地」だとして、「折に触れて使用する」と発表しました。空母艦載機が今後、岩国と厚木の二つの基地を使用して、離着陸訓練による深刻な爆音被害や墜落事故など住民の生命と暮らしを脅かしつづけることは絶対に許せません。

 横須賀基地(神奈川県)には、2015年に新しい原子力空母ロナルド・レーガンが配備されたのにつづき、新型イージス艦の配備が相次いでいます。佐世保基地(長崎県)には、強襲揚陸艦ボノム・リシャールに替えて、ステルス戦闘機F35を艦載できる強襲揚陸艦ワスプが配備されます。横須賀を母港とする空母打撃群や佐世保を母港とする強襲揚陸艦の遠征打撃群は、イラク侵略戦争など、米軍の無法な戦争に派遣されてきました。在日米軍基地が、海兵隊と空母打撃群の両面で、世界への「殴り込み」の一大拠点地として強化されようとしていることは、国際的にも重大問題です。

 ――沖縄と本土の連帯の力で基地強化のたくらみを許さないために全力をあげます

 基地あるがゆえに、日本国民は、空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)や米軍機の超低空飛行訓練による騒音、航空機・艦船による油漏れをはじめとする環境汚染に日常的にさらされています。こうした現実はとても独立国とはいえない、世界的に見ても異常極まるものです。

 米軍基地は、日本国民の生命と暮らしにも重大な被害と苦痛を与え続けています。戦闘機・ヘリの墜落や米兵による殺人、強盗・強姦・放火・ひき逃げなど、米軍の犯罪、事件・事故は、日本の主権を踏みにじる大問題です。

 昨年末にオスプレイが沖縄県名護市の海岸に墜落した際には、日本の捜査機関が「原因究明」のカヤの外に置かれました。基地外での日本の警察権行使を拒否し、証拠を隠滅する行為は、日米地位協定上も許されない無法なものです。

 米軍による事件・事故(米兵犯罪を除く)は、毎年1200~2000件も発生しており、政府が明らかにしているだけでも1952年以来、2016年末までに21万750件(施政権返還以前の沖縄の分は含まれていない)におよび、被害にあった日本人死者は1092人に達しています。米軍人の犯罪検挙数は1990年から2015年までに3705件(うち凶悪犯罪208件)となっています。とくに沖縄では、1972年の復帰から今年3月末までの米軍関係者による犯罪検挙件数は5929件(うち凶悪犯罪578件)にのぼります。

 日米地位協定では、米軍の公務上の事件・事故は第一次裁判権が米軍側にあるとされ、日本側がその放棄を要請できることになっていますが、日本側が放棄を要請したことはありません。公務外の米兵犯罪でも、日本人に比べて起訴率はきわめて低く、検察が米軍人らを特別扱いしている実態も明らかになっています。米兵犯罪や米軍の交通事故による犠牲者は泣き寝入りさせられ、国の主権はいちじるしく侵害されつづけています。

米軍の事件・事故の温床になっている日米地位協定問題でも、日本政府は、国民の強い改定要求に背を向けています。

 ――日米地位協定を抜本的に改定し、世界に例のない米軍優遇の特権をなくします。

 ――在日米軍基地の全面撤去、基地のない平和な日本をめざします。

 

(3)軍拡予算の削減、「思いやり予算」の撤廃を実現する

 安倍政権は、日米軍事同盟の強化と一体に、軍事費を果てしなく膨張させようとしています。軍事費は第二次安倍政権発足後の2013年度から5年連続で増えており、17年度当初予算では過去最高の5兆1251億円にまで達しました。18年度予算概算要求では、さらに1300億円も上積みし、5兆2551億円となっています。

 来年度概算要求では、MV22オスプレイ4機(457億円)、F35ステルス戦闘機6機(881億円)、米軍機にも対応する新型空中給油機KC46A1機(277億円)、空輸による迅速な海外展開が可能な機動戦闘車16両(121億円)、新型早期警戒機E2D2機(491億円)、さらに、価格高騰のため一時は導入中止も検討された無人偵察機グローバル・ホーク1機(144億円)まで計上しています。海外派兵と日米共同作戦を目的とした戦力増強が特徴となっています。しかもその多くが、米国政府から武器を購入する有償軍事援助(FMS)契約によるもので、武器調達でも対米従属が深まっています。

 来年度概算要求のもう一つの特徴は、北朝鮮核・ミサイル開発を口実にした「ミサイル防衛」費を大きく増額させていることで、17年度(649億円)の3倍近い1791億円を計上しています。しかも、陸上配備型弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の導入も含まれています。概算では金額を明記しない事項要求にとどめていますが、政府は一基あたり約800億円の同システムを二基以上配備する方向とされ、導入が決まれば軍事費総額はさらにふくらむことになります。

 現在、政府・与党内では、北朝鮮の核・ミサイル開発を口実に、敵基地攻撃能力の保有に向けた議論まで行われており、来年度概算要求には、敵基地攻撃能力への転用の可能性も指摘される日本独自のミサイル開発のための研究費も盛り込まれました。政府はこれまで「専守防衛」を建前としてきましたが、敵基地攻撃は限りなく先制攻撃の作戦にならざるを得ません。また、敵基地攻撃の本格的な能力を整備しようとすれば、偵察衛星、無人偵察機、巡航ミサイル導入など莫大な予算が必要となります。

 トランプ米大統領は2月の安倍首相との会談後の会見で、「日本と米国がともに、この同盟に強力な投資を続け、防衛と防衛力を増強することが重要だ」と、日本に軍拡を促しました。その後、安倍首相は3月の国会答弁で「防衛予算」について、国内総生産(GDP)の1%の枠にとらわれず増やしていく考えを表明しました。アメリカに追随して歯止めなき大軍拡をすすめることは許されません。

 米軍に対する「思いやり予算」(在日米軍駐留経費)の支出をこのまま続けるのかということも問われています。安倍政権は昨年3月、同予算を5年間(2016~20年度)延長する新しい日米特別協定を成立させましたが、5年間の総額は2011~15年度と比べて133億円増の9465億円(毎年約2000億円)となっています。2017年度予算では、「思いやり予算」と、「米軍再編経費」「SACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費」のいわゆる米軍関係3経費の合計が3985億円と過去最高になりました。「思いやり予算」は、地位協定24条が「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定していることに明確に反します。政府の財政制度審議会でさえ、「(厳しい財政事情の下)在日米軍駐留経費負担についても聖域視することなく見直しを行い、その縮減を図る必要がある」(15年11月24日付建議)としています。

――海外で戦争するための大軍拡路線を転換し、暮らしの予算を増やします。

――安保条約上の義務のない「思いやり予算」を撤廃させます。

 

(4)武器輸出、軍学共同―「戦争する国」づくりを支える体制づくりを許さない

 「武器輸出三原則」は、歴代日本政府自らが、「憲法の平和主義の精神にのっとったもの」として繰り返し国会答弁し、国是とされてきたものでした。ところが安倍政権は2014年4月、「武器輸出三原則」を撤廃し、武器や関連技術の輸出を包括的に解禁する「防衛装備移転三原則」へと大転換させる閣議決定を行いました。「紛争当事国や国連決議に違反する場合は輸出を認めない」とはしていますが、従来の原則では禁輸対象となってきた国際紛争の「恐れのある国」が禁止対象から外され、F35戦闘機の国際共同生産で問題となったイスラエルへの制限もなくなりました。「武器輸出三原則」撤廃に加え、「防衛生産・技術基盤戦略」の策定(14年6月)、防衛装備庁の設置(15年10月)も実施されました。軍事協力の強化と一体に、ミサイル防衛、地対空ミサイル、潜水艦など大型兵器の共同の開発がすすみ、国策としての武器輸出が多方面で行われています。日本が「死の商人」の道を歩むことを断じて許すわけにはいきません。

 武器輸出とともに、防衛省による産・官・学の軍事研究の動きが顕著になっていることも重大です。そのための「安全保障技術研究推進制度」(2015年度開始)について17年度予算は110億円で、前年の18倍もの増額となりました。同制度をめぐり、日本学術会議は今年3月に「軍事的安全保障研究に関する声明」を出し、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と指摘するなど、批判がわきおこっています。

――武器輸出、軍学共同など「戦争する国」を支える体制づくりをやめさせます。

 

(5)日米安保条約をなくし、対等・平等・友好の日米関係を築く

 日米安保条約は、占領軍を駐留軍へと名前だけ変えて居座らせ、「全土基地方式」という世界に類のない屈辱的なやり方で日本を米軍の「基地国家」とし、米国の軍事的支配の鎖に縛りつけています。

 オスプレイ配備強行や相次ぐ米兵犯罪など、米軍基地と沖縄県民をはじめ日本国民との矛盾はすでに限界を超えています。新ガイドラインや安保法制=戦争法による「戦争する国」づくりが強化されるなか、地球的規模の「日米同盟」の危険な侵略的変質はさらに進み、日米安保条約と日本国憲法はいよいよ両立しなくなりました。日本共産党は、日米安保条約をなくし、対等・平等の立場にたって、日米友好条約を結ぶことを目指します。そうしてこそ、日本はアメリカの引き起こす戦争の根拠地から抜け出すことができ、米軍基地の重圧から解放され、本当の独立国といえる国になることができます。

――日米安保条約第10条にもとづく廃棄の通告で、安保条約をなくし、日米友好条約を結びます。安保条約は、一方の国が通告すれば、一年後には解消されます。

 

(6)自衛隊と憲法の矛盾解決は国民合意で段階的にすすめる

 日本共産党は、憲法九条に照らせば、自衛隊が憲法違反であることは明瞭だと考えています。しかし、憲法と自衛隊の矛盾の解決は、一挙にはできず、国民の合意で一歩一歩、段階的にすすめます。

①まず海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとります。②安保条約を廃棄しても、同時に自衛隊をなくすことはできません。安保条約と自衛隊の存在は、それぞれ別個の性格をもつ問題であり、安保条約破棄の国民的合意が達成された場合でも、その時点で「自衛隊は必要」と考える国民が多数だという状況は、当然予想されることだからです。③安保条約を廃棄した独立・中立の日本が、世界やアジアのすべての国々と平和・友好の関係を築き、日本を取り巻く平和的環境が成熟し、国民の圧倒的多数が「もう自衛隊がなくても安心だ」という合意が成熟したところで初めて、憲法9条の完全実施に向けての本格的な措置に着手します。

 かなりの長期間にわたって、自衛隊と共存する期間がつづきますが、この期間に、急迫不正の主権侵害や大規模災害など、必要に迫られた場合には、自衛隊を活用することも含めて、あらゆる手段を使って国民の命を守ります。

 

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